ユニ・チャーム株式会社は、7月7日、紙おむつ使用高齢者の「睡眠の質」を改善するケアの方法についての研究結果を発表した。
今年、厚生労働省が「健康づくりのための睡眠指針」を11年ぶりに改訂し、体と心の健康維持に睡眠は欠かせないことが改めて示された。しかし、高齢者、とくに要介護者は加齢変化や認知症、失禁などにより「睡眠の質」が低下する傾向にある。高齢者施設では夜間不穏で寝つけない、睡眠不足により食欲がなく朝食を食べなくなる、日中にうとうとしてリハビリや生活意欲が低下する、などの問題が散見される。近年、改善に向けて様々な取組みが行われているが、睡眠を評価する客観的なデータが存在しないため、本人にとって最適なケアは何か、施設のスタッフの間で意見が分かれる場合もあったという。
このような問題を受け、同社は客観的に睡眠を評価し、より良いケア方法を検討するために広島大学と協同で研究を実施した
まず、睡眠時の脳波を測定したところ、要介護で施設に入居している紙おむつ使用の高齢者は、健康な80代の女性と比べて「睡眠の質」が低下していたことがわかった。
次に、要介護高齢者で夜間は紙おむつに排泄する人(75~100歳、計23名)が就寝時に使用していた尿とりパッドを尿の逆戻りを抑える機能を持つ夜用パッドに変更し、夜中の紙おむつの交換を中止した。その結果、睡眠効率(床に入っている時間のうち、本当に眠れている時間の割合)が有意に改善した。このことから夜用パッドは、中途覚醒を減らし、「睡眠の質」の改善に有効と考えられた。
【研究の概要】
■対象:老人福祉施設に入居している要介護高齢者で夜間は紙おむつに排泄する人 75~100歳 平均87.6歳 (女性19名、男性4名)計23名が参加
■期間:2013年10月14日~11月8日
■測定:睡眠脳波計(スリープウェル社製SLEEP SCOPE、医療機器)を使用
ケアの介入:睡眠を妨げないケア(全員に実施)
・就寝中は尿の逆戻りを抑える機能を持った夜用パッドに変更
・肌がさらさらに保たれるので夜中に行っていた紙おむつの交換を中止
:寝入りを促進するケア(対象者別に選択実施)
・夕食時からカフェインフリー飲料へ変更
・就寝2時間前に足浴や体操を実施
■研究の結果
①要介護で施設に入居している紙おむつ使用高齢者と、健康な80代女性との「睡眠の質」を比較
・寝つき
紙おむつ使用高齢者 1時間50分
健康な80代女性 37分
・中途覚醒
紙おむつ使用高齢者 35%
健康な80代女性 18%
・睡眠効率
紙おむつ使用高齢者 52%
健康な80代女性 80%
②介護で施設に入居している紙おむつ使用高齢者で、ケアの介入前と介入後の「睡眠の質」を比較
・寝つき
ケアの介入前 1時間50分
ケアの介入後 1時間16分
◎ユニ・チャーム株式会社
http://www.unicharm.co.jp/