「医行為かどうかは利用者に無関係」「時間のムダ」――検討会2

7月22日に開かれた「第2回介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」では、医療行為を実施する対象職種や対象施設、研修体制や法制度のあり方をめぐり、出席委員の間で激しい論戦が繰り広げられた。各委員の主な意見を紹介する。

■齋藤訓子委員(日本看護協会常任理事)
●急性期やターミナル期の利用者に対する医行為は、医師もしくは指示を受けた看護職員が実施すべき。
経管栄養については現行の特別養護老人ホームに限定すべき。
●経鼻経管栄養については、誤挿入のリスクが高く誤嚥性肺炎等の予防知識・対処技術が必要なので介護職員の実施は認めるべきではない。
●老人保健施設でのたんの吸引や経管栄養については常勤医師が配置され日常生活のサービスとともに医療サービスの提供を標榜する施設のため、医師もしくは看護職員が実施すべき

■黒岩祐治委員(ジャーナリスト・国際医療福祉大大学院教授)
●何をごちゃごちゃ話してるのかよくわからない。時間のムダ。
この検討会で一番求めるのはスピード感。
看護職員が実施すべきとか、介護職員はやってはいけないなど、日本看護協会の言っていることは間違い。今は普及している救急救命士についてかつて気管挿管は医師でなければと反対した日本医師会を思い出す。同会はそれと同じことを言っている。ナースは全員たんの吸引などの医行為をできるのか。
●たんの吸引は技術の問題。技術の問題ならしっかり教える体制を整え、代理の人がやっていけばいい。そのために皆の智恵を絞る検討会。
●医行為かどうかなんて利用者にとってはどうでもいい話で、やってくれることが大事。ニーズがあるなら必要なことをやればいい。法律は後からついてくる。法律は専門家にまかせればよい。法律が先にありきでそれに合わせなければならないと議論している時間がもったいない。

■因利恵委員(日本ホームヘルパー協会会長)
黒岩委員のいうことはわかるが、たんの吸引行為そのものは誰でもできると思うが、その後に病状や症状が変化してないか連続性を持ってとらえる必要がある。急ぎながらもどこまでどうするか議論することが本検討会の意義だと思う。

■三上裕司委員(日本医師会常任理事)
●厚生労働省がもともと求めていた研修をして介護福祉士以外に特殊な資格を与えて独占業務をさせることは介護の現場を混乱させるので、たんの吸引などは医行為から外すのが現実的ではないか。河原委員は介護職への医行為拡大に賛成と言ったがむしろ介護職への医行為は縮小、医行為以外の拡大を図るべき。

■平林勝政委員(國學院大學法科大学院長)
(たんの吸引などの医行為について)法制化の必要はある。現状、個別契約で実施されている医行為は、問題が起きるたびに個々の解決が必要となる。広く介護職によって行われるようにするには、現実の法律的な枠組みの中で整合性があることも必要。

■太田秀樹委員(医療法人アスムス理事長)
実施対象をグループホームはよいが老健はダメなど、施設を分類するのは反対。施設の区別や施設か在宅かではなく、ナースとチームを組んで実施することを条件とすべき。

■中尾辰代委員(全国ホームヘルパー協議会会長)
全然、研修体制が整っていないのが現状。法整備は後からついてくるというのは不安。救急救命士が病院で研修したように私達もやるのであれば医療の現場で研修したい。医療現場で研修を受けたスタッフならご利用者様も安心するのではないか。

■橋本操委員(NPO法人さくら会理事長・日本ALS協会副会長)=代理人発言
医療現場での研修は反対。研修で自信を持ったヘルパーが在宅の現場で勝手な自己判断をする恐れがある。利用者が存在しコミュニケーションも含めて、現場で学ぶことが大切。

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