<半数が準備なし>「単身高齢者の介護準備に関する調査」――第一生命保険

第一生命保険株式会社は、5月29日、「単身高齢者介護準備に関する調査」の結果を公表した。

調査は、自宅で1人暮らしをする65~79歳で、介護保険で要支援・要介護の認定を受けていない人を対象に行った。その結果、約4分の1の人が、将来、介護を受けたい場所について「わからない」、約半数の人が介護が必要になったときのための準備を「特にしていない」と回答した。

国立社会保障・人口問題研究所が4月に発表した世帯数の将来推計によると、2010年は498万人だった1人暮らしの高齢者は35年には762万人に増加し、高齢世帯のうち1人暮らしが4割近くになる。ひとりひとりがどのように介護の備えをしていくか、超高齢化社会における問題点を浮き彫りにする結果となった。

【調査の概要】
■調査対象者:自宅で1人暮らしをする全国の65~79歳の男女(介護保険で要支援・要介護の認定を受けていない人)
■サンプル数:527名(男性265名、女性262名)
■調査方法:インターネット調査
■実施時期:2013年12月

調査の結果は以下のとおり。

■独居化の経緯は「配偶者と死別、離婚または別居し、子どもはいるが別居」が約6割
独居化した経緯を訊ねたところ、もっとも多かったのは「配偶者と死別・離別して子どもあり」で、59.2%を占めた。次いで「独身でずっと独居」(13.3%)、「配偶者と死別・離別して子どもなし」(11.6%)が続く。「独身で同居者と死別・離別して独居」も6.8%いた。
これらの分布に男女差はなかったが、年代別では65~69歳では「独身でずっと独居」「配偶者と死別、離別して子どもなし」「独身で同居者と死別・離別して独居」の人の割合が他の年代に比べて高く、「配偶者と死別・離別して子どもあり」人の割合が相対的に低くなっている。

■将来、介護を受けたい場所は4分の1が「わからない」
「身体が虚弱化した場合」と「記憶力・判断力が低下した場合」のそれぞれについて、将来、介護を受けたい場所を訊ねた。その結果、「自宅(現在の住宅に、とくに改造などはせずそのまま住み続けたい、現在の住宅を改造し、住みやすくしてそのまま住み続けたいの合計)」と答えた人は、「身体が虚弱化した場合」が30.0%、「記憶力・判断力が低下した場合」が20.5%だった。
一方、「施設など(「ケア付き住宅」「有料老人ホーム」「特別養護老人ホーム」「病院」の合計)」と答えた人は、前者が40.1%、後者が46.9%だった。
いずれの場合も「施設など」の割合が「自宅」を上まわり、「身体が虚弱化した場合」に比べて、自身の介護についての意思決定が難しくなる「記憶力・判断力が低下した場合」に高くなった。

また、介護を受けたい場所について「わからない」と答えた人は、「身体が虚弱化した場合」で23.5%、「記憶力・判断力が低下した場合」で27.7%と、いずれの場合も回答者全体の4分の1前後を占めた。このことから単身高齢者の4人に1人は、将来、自分が介護を受けたい場所について具体的に考えていなかったり、考える機会をもたずにいる可能性がある。

■「わからない」と答えた人は、男性や独身でずっと独居の人で多い傾向
将来、介護を受けたい場所について「わからない」と答えた人の割合を、性別、年代別、独居化の類型別に見たところ、「身体が虚弱化した場合」では男性29.4%・女性17.6%、「記憶力・判断力が低下した場合では」男性32.8%、女性22.5%で、いずれも女性より男性が高かった。
また、配偶者との死別・離別を経て独居化した人で、「わからない」と答えた割合は、「身体が虚弱化した場合」が男性29.5%、女性18.9%、「記憶力・判断力が低下した場合」が男性29.5%、女性24.0%だった。

以前の調査で、夫婦2人暮らし世帯の高齢者に将来の1人暮らしを想定して介護を受けたい場所を訊ねたところ、「わからない」と答えた人の割合は男性10.2%、女性15.7%で、それらを上まわった。このことから、配偶者との死別・離別や独居化を経験した後の生活の変化によって、夫婦2人で暮らしていたときに介護を受けたいと考えていた場所で生活していくことに不安が生じる場合もあると推測できる。

■8割以上が、外部サービス中心の介護を希望
将来希望する介護の方法について訊ねたところ、「外部サービス中心の介護を希望する(ホームヘルパーなどの外部の介護を中心に家族による介護も受けたい、ホームヘルパーなどの外部の介護だけを受けたい」の合計」の割合は、「身体が虚弱化した場合」で84.5%、「記憶力・判断力が低下した場合」で83.7%。いずれの場合でも8割以上の人は、外部サービス中心の介護を受けたいと考えていることがわかります。
また、「身体が虚弱化した場合」は15.5%、「記憶力・判断力が低下した場合」は16.3%が家族中心の介護を希望している。

なお、配偶者との死別・離別を経て独居化した高齢者が「ホームヘルパーなどの外部の介護だけを受けたい」と答えた割合は、前回の夫婦2人暮らし世帯の高齢者に将来の1人暮らしを想定して希望する介護の方法を訊ねた調査の結果を上回る傾向がみられた。このことから配偶者との死別・離別を経て1人暮らしをする高齢者のなかには、介護を実際に経験したことによって家族介護の負担を実感し、子どもの負担を懸念して外部サービスだけを利用したいと考える人も少なくないと推測できる。

■低い年代ほど「外部の介護だけを受けたい」人が多い傾向
将来、希望する介護の方法について「ホームヘルパーなどの外部の介護だけを受けたい」と答えた人の割合を属性別に見たところ、性別では「身体が虚弱化した場合」(男性59.6%・女性59.9%)、「記憶力・判断力が低下した場合」(男56.6%・女55.7%)のいずれも大きな差はなかった。
年代別では、「身体が虚弱化した場合」については、65~69 歳(71.2%)や70~74 歳(60.3%)では6割を超えているが、75~79 歳(46.4%)では50%を下回った。「記憶力・判断力が低下した場合」についても、65~69 歳(67.6%)や70~74 歳(58.3%)では半数を超えているが、75~79 歳(40.5%)では約4割にとどまった。つまり、「外部の介護だけを受けたい」と答えた人は、低い年代ほど多い傾向がみられた。

介護が必要になったときの準備「特にしていない」が約半数
将来、自分に介護が必要になったときのための準備状況について訊ねたところ、最も多かった回答は、「特に準備はしていない」(48.0%)だった。単身高齢者の約半数は、自分に介護が必要になったときのための準備を特に行っていないことがわかる。一方、行われている準備のうちもっとも多くあげられたのは預・貯金をする」(30.6%)で、「公的介護保険制度について情報を集める」(21.8%)が続いた。
注目されるのは、「ペットの世話の依頼先や引き取り先を検討する」(17.9%)が第3位だったことで、サンプル数は限られているが、ペットを飼っている単身高齢者の場合、自分自身の介護に向けた準備に加え、ペットの行く末も重要な準備項目の1つになっていると考えられる。

将来、自分に介護が必要になったときのための準備状況について「特に準備はしていない」と答えた人の割合を主な属性別に見たところ、男性(53.2%)や65~69 歳の人(56.5%)、独居化の類型が「配偶者と死別・離別して子どもなし」(63.9%)および「独身でずっと独居」(58.6%)の人では、半数を超えていることがわかった。

■自分の介護についての希望、約半数は「伝える必要性を感じている」 
自分の介護などに関する希望や考えについての意思表示の実態を探るため、「どこで介護してもらいたいか」「だれに介護してもらいたいか」「介護に必要なお金をどのようにまかなうか」「死亡後の住まいや所有品をどうするのか」という4つの側面に関する自分の希望や考えを周囲に伝えたことがあるかについて訊ねた

その結果、「実際に伝えたことがある」と答えた人は、すべての項目において1~2割程度にとどまった。どの項目でも最も多かったのは「伝えたことはないが、伝える必要性を感じている」と答えた人で、いずれも半数前後を占めている。なお、「実際に伝えたことがある」と「伝えたことはないが、伝える必要性を感じている」を合わせた割合は、「伝えたことはないし、伝える必要性も感じていない」と答えた人をすべての項目で大幅に上回った。

■伝えた相手で最も多いのは「別居する子ども」
将来の自分の介護についての希望や考えを周囲に「実際に伝えたことがある」と答えた人が、希望を伝えた相手やそのきっかけとなったできごとを見ると、希望や考えを伝えた相手として最も多くあげられたのは「別居する子ども」(79.5%)で、次いで「親しい友人」(20.5%)、「別居する兄弟姉妹」(14.5%)だった。
「後見人・弁護士など信頼できる第三者」をあげた人は5.1%に過ぎなかった。
また、意思表示のきっかけでは、「特にきっかけはなかった」と答えた人が18.8%を占めた一方で、最も多くあげられたのは「1人暮らしになったこと」(45.3%)だった。

単身高齢者の多くは自分の介護についての希望や考えを周囲に伝えてはいないが、実際に伝えた経験がある人に限れば、「独居化」という世帯形態の変化が重要なきっかけになっていることがわかる。2位以下には「配偶者・パートナーの死」(30.8%)、「自分のケガ・病気・入院」(24.8%)、「家族・親族の死」(12.8%)が続いた。このことから家族との死別や、自らのケガや病気がきっかけとなってはじめて自分の将来の介護について考えたり、将来について周囲と相談した人が多いと考えられる。

◎第一生命保険株式会社
www.dai-ichi-life.co.jp/

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