7月14日(水)、15日(木)、16日(金)の3日間に渡って東京ビッグサイトで開催された医療・福祉に関する展示会「国際モダンホスピタルショー2010」(主催:社団法人日本病院会、社団法人日本経営協会)では、さまざまなセミナーやシンポジウムも開催された。
初日に行われた公開シンポジウムで、茨城県医師会理事の鈴木邦彦氏が、「医療と介護の連携をつなぐキーパーソンはケアマネ資格を持った看護師ではないか」と語った。
「いのちを輝かす病院の役割〜救急から介護まで〜」というタイトルの、この公開シンポジウムは、救急医療、周産期医療、小児救急、介護療養、医療を受ける立場と、立場の異なる演者が登場し、それぞれの立場から現状や問題点、解決策について講演したもの。
このうち、「介護療養の立場から」として登場した鈴木氏は、診療報酬改定に関する審議を行う中医協保険医療協議会の委員の一人。
医療と介護の連携については、医療側は介護や認知症ケアに対する知識と理解が不十分で、逆に、介護側は医療やリハビリに関する知識と理解が不十分のため、看取りに不安や抵抗感があると指摘した上で、スムーズな連携を行うには、「両者をつなぐキーパーソンと多職種協働のカンファレンスの両方が必要」と強調した。ここで、キーパーソンとなりうる人として鈴木氏が挙げたのは、「ケアマネジャー資格を持つ看護師」だった。
また、今後の高齢者介護については、地価が高く、所得も高い人が多い都市では「より施設中心」に、過疎が進み、所得の低い人が多い地方では「より在宅中心」に進むだろうと予測。
さらに、「介護施設における医療のあり方は今度、どうなるのか?施設形態によって関係する法律が異なり、制度が複雑だが…」との質問に対しては、「一元化、あるいは外付けの形で24時間365日のサービスになるのが理想」と見解を語った。
現在、「介護保険三施設」と呼ばれるのが、特別養護老人ホーム、介護保険施設、介護療養型医療施設(介護療養型病床)の3つ。このうち、介護療養型病床は平成23年度末で廃止されることとなっている。「現実的には廃止は不可能だろう」とは話しつつも、介護療養型病床はなくなるとして、残り2つのいずれかに一元化されるか、介護サービスメニューを外付けで利用するような形式のいずれかが理想ではないかと話した。