有識者が政策を発信する「日本創成会議」は、5月8日、人口減少が深刻化する中、このまま推移すれば多くの自治体が将来消滅する可能性が高い自治体について発表した。
日本創成会議の人口減少問題検討分科会(座長・増田寛也元総務相)がまとめたもので、国立社会保障・人口問題研究所による2013年3月の将来推計人口データを基に算出した。
人口の再生産を中心的に担う「20~39歳の女性人口」の人口が減少し続けると総人口の減少に歯止めがかからないとし、将来推計人口の数値ををベースに試算したところ、2010年から2040年にかけての30年間で、「20~39歳の女性人口」が5割以上減少する市区町村が373(全体の20.7%)にのぼった。そのうち、2040年時点で人口が1万人を切る小規模市町村は243(全体の13.5%)となった。
さらに、国立社会保障・人口問題研究所の推計による2010~2015年の間の人口移動の状況(毎年6~8万人程度が大都市圏に流入が今後もおおむねそのままの水準で続く)という想定で算出すると、2010~2040年までの間に「20~39歳の女性人口」が5割以下に減少する自治体数は現在の推計に比べ大幅に増加し、全体の49.8%の896自治体にのぼる結果となった。同会議では、これらを「消滅可能性都市」としている。
都道府県別に見ると、こうした市町村が8割以上となるのが、青森県、岩手県、秋田県、山形県、島根県の5県。5割以上では24道県にも達する。さらに、896自治体のうち2040年時点で人口が1万人を切る市町村は523で、全体の29.1%にのぼる。「これらは、このままでは消滅可能性が高いと言わざるをえない」と報告している。
26年後に消滅する可能性が高い自治体が全体の3割近く。これが現実になると、介護保険制度をはじめ社会保障制度の維持が困難になることになる。
国民創成会議ではこの試算をもとに、少子化対策を含めより一層の国策の必要があると提言している。
同会議の分科会では地域崩壊や自治体運営が行き詰まる懸念があるとして、東京一極集中の是正や魅力ある地方の拠点都市づくりなどを提言している。
◎日本創成会議
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