兵庫県は、2014年1月から、認知症の専門機関とかかりつけ医が連携を図る新たな認知症医療体制を開始した。こうした取り組みは、都道府県レベルでは初。
同県には、「認知症疾患医療センター」として11病院が指定されているが、予約待ちが長期間であったり、遠方からの受診も多いなどの課題があった。しかも、県内の2010年の認知症高齢者数は約12万人おり、ピークとなる2025年には約21万人の増加が見込まれている。そこで、かかりつけ医などの身近な医療機関(Ⅰ群)と専門医療機関(Ⅱ群)を「認知症対応医療機関」として登録してもらい、県内のどの医療機関を受診しても、認知症の症状に併せて適切な医療が受けられるような仕組みづくりに改善した。
登録に際しては、Ⅰ群では認知症の相談・診療が可能な医師や専門医がいること、Ⅱ群では専門医などの配置に加え、脳血流検査などの医療機器を使った高度な鑑別診断が可能なことなどが要件となっている。
仕組みとしては、患者がⅠ群以外の医師に相談した場合でもⅠ群の医師を紹介されて受診。さらに、より詳しい検査や診断が必要だと判断された場合はⅡ群の医師が紹介される。診断が確定したあとは、Ⅰ群とⅡ群の医師が連絡を取りながら継続的に治療が進められる。
「まずは身近なかかりつけ医に気軽に相談するようにしてほしい。普段の健康状態を把握しているかかりつけ医に相談することが、適切な治療につながる」と県高齢社会課は話す。なお、医療機関情報の氾濫によって受診行動の混乱を避けるため、当分の間は「認知症対策医療機関」の一般公表は差し控えるという。昨年12月の時点で登録された「認知症対策医療機関」は、Ⅰ群が930病院、Ⅱ群は認知症疾患医療センターを含む45病院。
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