11月17日、日比谷公会堂にて第3回介護甲子園が開催された。
日本介護協会が主催するこの「介護のお祭り」も今年3回目。最大客席2000席の日比谷公会堂は、熱い気持ちを持った介護業界の若人で満員御礼の大盛況となった。
当日は、全国803エントリー事業所から、決勝大会に進んだ上位5事業所がプレゼンテーション。各事業所の素晴らしいプレゼンテーションを聞いた2000人の観戦者が一票を投じた。
そして栄えある第3回介護甲子園の最優秀賞に輝いたのは、埼玉県「特別養護老人ホーム 大井苑」と決まった。
ここでは、各事業所のプレゼンテーションの概要を紹介する。
■特別養護老人ホーム 大井苑
最優秀賞を獲った大井苑。積極的に取り組んでいる『ナラティブ』は、利用者それぞれの人生に寄り添い、過去だけでなく、現在、未来を通じ物語を紡ぐ。利用者がどのような半生を過ごされてきたのか、家族との思い出にはどのような物語があったのか。そして、どんな未来をこれから生きていきたいのか。利用者の人生を知ることでスタッフも家族のような関係なれる『ナラティブ』は、どの施設でも活用できる活動内容だった。
■たんぽぽデイサービス城北
スタッフ50名の内、47名がパートであり、女性は全員主婦という施設。同じ境遇にいることでスタッフ同士が共感し、助け合いができており、アルバイトも正社員も関係なく、責任あるプロ意識の高いスタッフが多数いる。介護人材の不足が懸念され続けている日本の介護業界にとって、とても大きなヒントがあった。
■あったかホーム毛呂山
スタッフ自身が楽しむことで、利用者の楽しみに繋がるという考えのもと、全員で意見を出し合ったり、うまくいった内容を共有したり、とにかく利用者の喜びを最優先に取り組んでいる施設。本当に楽しいことを利用者に提供するという経験が、スタッフ1人1人の成長となっていたのが印象的だった。スタッフの成長が施設の良さを作り上げている事例。
■練馬キングス・ガーデン
看取りというテーマを、一人の利用者を取り上げ発表。本当にその方が望んでいることなのか。本当は自分たちの思い込みで、不快なことをしているのではないか?大きな葛藤の中で取り組んだ結果が、利用者の『ありがとう』という言葉だった。心の中まで完璧に理解することは難しいが、深く関わることで、口に出せなかった利用者の思いを実現した感動的な看取りとなった。
■シャロームリハビリステーション
とにかく歩くことに特化して運営している新しい施設。『理屈抜きに、ただ歩きたいんだよ!』という利用者の言葉。今までできたことができなくなった利用者の本当の気持ちが詰まっているように感じられた。介護側の都合で歩けなくなっていることを絶対に無くすとい信念は大変強く、他がやらないことをやり続けるという困難を乗り越えていく姿は学びとなった。
なお、第4回介護甲子園は2014年11月9日(日)に開催予定。また、「共に学び、共に成長し、共に克つ」を実践していく場となろう。
◎介護甲子園
http://www.j-care.or.jp/