<在宅介護者調査>介護に費やす時間は1日9時間――民間調査

イーエヌ大塚製薬株式会社は、10月31日、在宅介護者1,000名を対象に介護の実態を調査の結果を発表した。

調査は、臨床栄養と緩和医療の第一人者である、藤田保健衛生大学医学部外科・緩和医療学講座の東口髙志教授の監修のもとで実施。同社では、東口教授が提唱する「感食介護(かんしょくかいご)」=食の持つ力を活かし、介護される人と介護する人の豊かなコミュニケーションを目指す考え方に賛同し、口腔に問題を抱えている人のための摂食回復支援食「あいーと(R)」を製造・販売している。

食事を中心とした在宅介護についての調査の結果から、在宅介護において、食事には栄養摂取はもちろん、介護する人とされる人の癒しになる可能性があることがわかり、同時に、その実態は満足のいくような食事の提供・摂取がなされていない家庭が多いことが明らかになった。

【調査の概要】
■調査の対象:在宅介護を行っている人(全国、性や年代を問わない)1,000名
■実施日:2013年9月13日~9月17日
■調査の方法:インターネット調査

介護にかける時間は、一日最大9時間
介護期間は1年未満という人から15年以上という長期間の人まで幅広い回答が得られ、要介護度が高い人ほど長期間の介護となっており、要介護5では4人に1人が10年以上の在宅介護をしていた。

在宅介護において、「誰がどんな介護を行っているか」を訊ねたところ、主に介護サービスを利用するのは入浴介助(46%)やリハビリ(33%)のように力や専門性を必要とするもので、その他の介護については、介護サービスを利用しているのは1~2割で、ほとんどを家庭内で行っていることがわかった。
それぞれの介護にかけている時間を訊ねたところ、「話し相手」(59分)、「散歩などの外出」(54分)に次いで「食事の介助」(54分)、「食事の準備(52分)」の順で長くなっていた。すべての介護について、かけている時間を足すと1日当たり最大で540.2分=9時間の介護時間となり、「自宅では要介護者につきっきり」という実態がわかった。

このような在宅介護の現状において、介護者が抱えるストレスはかなりのものであると推測され、イライラが募り、要介護者に対してついつい冷たく当たったり、時には思わず手が出てしまったりということで、「負い目を感じた(自責の念にかられた)ことがある」という人は60%と過半数を超えた。この割合は要介護4,5の場合約7割と要介護度が高まるにつれて高くなる傾向が見られ、介護が深刻化していく中で余裕がなくなり、思ったように介護できずに要介護者との関係も悪化していくことが推測できる。

要介護者の6割以上が、一番の楽しみは「食べること」と回答
介護の中でも最も注力していることを訊ねたところ、「食事の準備」という回答が最も多く全体の19.1%、「食事の介助」(12.5%)と合わせると3割以上の人が食事を重視していることが分かった。次いで多いのは「トイレ・排泄介助」(17.6%)「話し相手」(14.5%)だった。

介護者が注力している食事に関し、「介護をしていて良かったと思うこと」があるかを訊ねたところ、「食事をしっかり食べてくれたとき」「楽しそうに食事をしていたとき」にそう思うと答えた人はそれぞれ19.5%、29.8%だった。またこの割合は要介護度が高くなるにつれて高くなり、要介護度5ではそれぞれ28.0%、36.5%となった。

要介護者の反応についての質問では、「笑顔を見せる」のは「話し相手をしたとき」(50.7%)に次いで「何かを食べるとき」(41.2%)が高く、「感謝された」のは「何かを食べるとき」(29.2%)、次いで「話し相手をしたとき」(26.2%)の順で高くなり、食事とコミュニケーションが要介護者にとって特別な時間であると考えられる。また、実際に要介護者に対して「楽しいと思うとき」を訊ねたところ、「食べるとき」をあげる人が62.2%、次いで「誰かと話しているとき」が多い結果となった。
このことから、介護において食事の時間を充実させることはコミュニケーションを充実させ、介護する人と介護される人の双方にとって癒される時間が増えることであると言うことができる。

要介護度が高まるほど食事の介助が深刻に
介護者に「最もストレスを感じる」介護について訊ねたところ、「食事の準備」「食事の介助」と回答した人はあわせて16.9%だった。要介護度が低いときは「食事の準備」という回答が、要介護度が高くなると「食事の介助」という回答が多かった。「食事の介助」についての質問では、「食事を食べない・拒否する」「食事を上手に食べられない」という回答が要介護度が高まるにつれて高くなり、要介護5ではそれぞれ28.0%、38.0%となった。

食事の内容では、43%の人が家族と同じもの(常食)を食べているが、要介護度が高まるにつれて常食の割合は減り、要介護5では常食の人は17%に過ぎなかった。
常食以外の食事をとっている人の27.4%が家族の食事とは別に要介護者のために食事を用意しているが、51.4%は家族と同じ食事を細かく刻んだり、ミキサーでさらに刻んだりして提供していると回答した。刻んだりミキサーにかけたりした食事は見た目も味も「何を食べているか分からない」ようなものになりがちなため、上記のように要介護者の「食事を食べない・拒否する」といった反応を生んでいると推測できる。

◎イーエヌ大塚製薬
http://www.ieat.jp/

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