【特別寄稿】<参院選投票日間近>介護保険は国会でどう扱われているか

7月4日、参議院議員選挙が公示され、21日の投票日をめざして選挙活動がはじまっている。
ケアマネジャーの皆さんは、政党ごとの社会保障関連の公約、とりわけ高齢者施策が気になるところだろう。今回は、選挙に合わせて、まず、どのような仕組みで介護保険が改正されるのかをひもといていく。

介護保険制度はおおまかに言うと、法律(介護保険法)と法律にもとづく政令・省令で運営されている。介護保険サービスの値段(介護報酬)や事業者の指定基準、運営基準などは政令・省令で定められるため、介護関係者の関心は担当官庁である厚生労働省に傾きがちだ。

しかし、現在、首相官邸に設置されている社会保障制度改革国民会議(以下、国民会議)で議論されている制度改定の内容――――要支援認定者のサービス(給付)からの除外、第2号保険料や利用料の引き上げ、施設サービス費用の低所得者対策(補足給付)の見直し――――などは、国会で介護保険法の改正をしなければ実施することはできない。

■国会質問には2種類ある
国会議員は直接選挙で選ばれた国民すべての代表で、主な仕事は、
1)法律の制定、予算の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名など国会の意思決定に参加する
2)国会質問で国政を監視、コントロールする
3)選挙や請願・陳情などを通して国民の意思を国政に反映させる、などだ。

今年の通常国会では、介護保険制度はテーマ(議案)にならなかったが、2)にあるように国会議員は国会開会中は随時、会議(本会議、各種委員会)で政府(内閣)に質問することができる。また、国会質問には会議のほか、「質問主意書」という文書によるものがある。
国会議員から「質問主意書」が出された場合、政府は総理大臣の名前で「答弁書」で回答する。介護保険制度関連では、今年の通常国会では次のような「質問主意書」が出され、「答弁書」による政府答弁があった。

■2013年通常国会の質問主意書(衆議院参議院

なお、国民は国会を傍聴することができるが、委員会の質問スケジュールはぎりぎりにならないと決まらないし、衆議院の場合は、傍聴するには国会議員による紹介が必要とハードルが高くなる。
このため、インターネットテレビ(「衆議院インターネット審議中継」「参議院インターネット審議中継」)で傍聴するか、衆議院参議院のホームページから議事録を閲覧するほうが手軽になっている。

■国会による「国政の監視」
国会議員による「国政の監視、コントロール」では、介護保険制度の場合、厚生労働省の施策について質問し、是正を求めることもある。
例えば、2009年1月、介護認定の訪問調査員のテキスト『認定調査員テキスト2009』が公表されたが、認定ランクが軽く判定されるという批判が相次ぎ、衆議院、参議院で質問が行なわれた。答弁に立った舛添要一・厚生労働大臣(当時)は、厚生労働省内に要介護認定の見直しに係る検証・検討会」を設置し、検証期間中は更新認定者が希望する場合、前の認定ランクに据え置くという経過措置を行った。同年10月、認定調査員テキスト2009改訂版』が出された。

■法改正と施行のタイムラグ
国会議員による「法律の制定」には介護保険法改正がある。これまでに国会に提出されたのは、2005年の「介護保険法等の一部を改正する法律案」(第162回通常国会)、2011年の「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」(第177回通常国会)のふたつだが、成立までの流れは次のようになる。

2006年改定の流れ

2012年改定の流れ

表に整理したように、介護保険法の改正には、
1)社会保障審議会介護保険部会が「意見」をまとめて厚生労働大臣に提出
2)厚生労働省が「意見」にもとづいて作成した改正案を国会に提出
3)国会(衆議院と参議院)で改正案を審議、という一連の手続きがある。
現在、参議院議員選挙に立候補している422人になかで、当選した121人(選挙区73議席、比例代表48議席)は、国会における介護保険法改正の議論に参加することになる。

■2015年改定の進行表
ケアマネジャーホームヘルパー、施設職員など介護現場で働く人たちは日々の仕事に追われている。また、多くの国民も改正法が実施(施行)されないと、具体的な改正内容を実感できない。
だが、参議院議員選挙後の8月に国民会議の提言がまとめられ、9月以降、介護保険部会が提言に沿って意見をまとめ、早ければ2014年の通常国会に3回目の介護保険法改正案が提出されると予想される。
改正案が成立すれば、第6期(2015~2017年度)の介護報酬改定に反映されるというスケジュールになる。

(市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰 小竹雅子) 

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