千葉県は、「終末期を自宅で過ごすことについて」のアンケートを実施し、このほどその結果を発表した。
県では、患者が望む場所で看取りができる環境づくりをすすめているが、平成23年度に実施した医療に関する県民意識調査で「自分が最期を迎える場所として、医療機関と居住の場(自宅など)のどちらを希望するか」をたずねたところ、約4割が「居住の場で最期を迎えたい」と回答した一方、約3割が「自宅で亡くなると家族に迷惑をかけるから」の理由から「医療機関」を選択した。
そのため、なぜ、自宅で看取ることができないと考えているかを調査し、患者が望む場所で看取りができる環境づくりに向けた施策立案に活用することを目的に、アンケートを実施した。
その結果、「死期がせまっている場合、最期を自宅で過ごしたいと思うか」との質問では、半数以上が「自宅で過ごしたいが、実現は難しい」と回答しており、その理由として7割強が「家族に介護の負担や手間がかかるから」と回答。一方、自分の家族が自宅療養を希望した場合は、6割近くが「医療と介護のサポートがあれば可能」と回答している。
【調査の概要】
■調査対象:アンケート調査協力員1,404人のうち153人が回答
そのうち60歳~69歳が23.5%、40歳~49歳が22.9%、50歳~59歳が20.9%、70歳以上が19.6%
■調査時期:平成25年2月
■調査方法:インターネットアンケート専用フォームへの入力による回答
調査の結果は以下の通り。
■半数以上が「自宅で過ごしたいが、実現は難しい」と回答
「治る見込みのない病気になり、死期がせまっていることが分かった場合、最期を自宅で過ごしたいと思うか」とたずねたところ、「自宅で過ごしたいが、実現は難しいと思う」が53.0%と最も多く、次いで「自宅で過ごしたいし、実現できると思う」が24.8%、「自宅では過ごしたくないと思う」が12.4%、「わからない」が9.8%だった。
次いで「なぜ、『自宅で過ごしたいが、実現は難しいと思う』のか、または『自宅では過ごしたくないと思う』のか」とたずねたところ(選択肢から3つまで選択)、「家族に介護の負担や手間がかかるから」が74.0%と最も多く、次いで「自宅で介護を受けられる居住環境が整っていないから」が34.0%だった。
■約4割が「訪問診療の医師や看護師がいれば可能」と回答
「最期を自宅で過ごすとしたら、どんな条件が必要だと思いうか」という質問では(選択肢から3つまで選択)、「家族に介護の負担や手間がかからないこと」が59.5%と最も多く、次いで「訪問診療をしてくれる医師や看護師がいること」が40.5%だった。
また、「その他」の答えの中には、「助からない病なら安楽死の選択を制度化するべきだと思う」「自宅での死亡時の処置(消防・警察の検死作業など)が煩わしい」「家族へ精神的負担を与えないこと(苦痛緩和措置などの実施)」「家族がいること」などの意見があった。
■6割近くが「医療と介護のサポートがあれば可能」と回答
「自分の家族が治る見込みのない病気になり、死期がせまっていることが分かった場合、どこで最期を過ごすことをすすめるか」との質問では(選択肢から1つ選択)、「自宅での療養をすすめるが、必要になれば医療機関へ入院させたい」が43.1%と最も多く、次いで「医療機関に入院することをすすめる」が21.6%だった。
また、「その他」の答えの中には、「本人の希望(意思)を尊重したい」「ホスピス」「緩和ケア病棟」「病状によって選択する」などの意見があったた。
「自分の家族が自宅療養を希望した場合、自宅療養は最期まで可能か」(選択肢から1つ選択)をたずねたところ、「医療と介護のサポートがあれば可能だと思う」が58.8%と最も多く、次いで「できないと思う」が20.9%だった。
◎千葉県
http://www.pref.chiba.lg.jp/
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