国立がん研究センターは、3月19日、年齢と性別、喫煙、肥満度(BMI)、糖尿病、血圧の6項目でそれぞれ点数をつけ、今後10年間に脳卒中の発症を推計するシステムを作成したと発表した。
平成5年に茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の5保健所(呼称は平成25年現在)管内に住んでいた40~69歳の約6万人にアンケート調査を依頼。そのうち必要な情報があり、血液を提供した約15,672人を約14年間追跡したところ、790人で脳卒中の発症を確認。その結果に基づいて10年間の脳卒中の発症確率を予測するモデルを作成した。
まず、脳卒中発症確率を予測するには、喫煙、肥満度、血圧、降圧薬内服、糖尿病の有無、年齢、性別という7つのリスク因子で必要十分であることを統計学的に明らかにし、それらを使ってモデル(予測式)を作成。
リスク因子ごとに、その有無や程度によって定められた点数を与え、合計点数から将来の発症確率を判定した。
その結果、10年間の発症確率が5%に達するのは、リスク因子のない理想的な男性では69歳だが、高血圧のある男性では58歳、高血圧と糖尿病のある男性では50歳と、約10~20歳の差が見られた。
さらに、あるリスク因子を完全になくすことができた時に、防ぐことが可能となる脳卒中発症者の割合を推定すると高血圧が35%、喫煙が15%であることがわかり、日本人における脳卒中予防において特に高血圧と喫煙に対する対策がより重要であることが明らかになったという。
また、研究では、発症確率だけでなく「血管年齢」も同時に推定し、健康指導に活用しやすくもした。
同センターでは、この予測モデルを用いて健診成績や生活習慣を総合的に評価することで、生活習慣の見直しや健診成績の改善のきっかけにしたい、としている。
◎国立がん研究センター
http://www.ncc.go.jp/jp/
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