厚生労働省は、このほど平成23年国民健康・栄養調査の結果を発表した。この調査は、栄養素摂取量や生活習慣の状況を調べ、国民の健康の増進・推進を図るための基礎資料を得ることを目的に、毎年実施されている。
同調査より、高齢者に関連があるものを中心に紹介する。
【調査の概要】
■調査の対象:平成23年国民生活基礎調査にて設定された単位区から層化無作為抽出した300単位 区内の世帯及び世帯員
■調査の時期:
身体状況調査:2011年11月
栄養摂取状況調査・生活習慣調査:2011年11月の特定の1日
1.食生活に関する状況
■生鮮食品の摂取状況
成人の野菜類と果物類の摂取量の平均値は、それぞれ277.4g、110.3gで、魚介類と肉類の摂取量の平均値はそれぞれ78.6g、80.7gだった。2001年(平成13年)の摂取量と比べると、野菜類、果物類、魚介類は減少し、肉類は増加しており、これはすべての年代に共通しているが、70歳以上は、野菜類と果物類は微減、魚介類は減少の幅が小さいという特徴がみられた。
■生鮮食品の入手状況
生鮮食品(野菜、果物、魚、肉など)をふだん買い物しているのは、男性が36.3%、女性83.8%で、40~60歳代女性では9割以上だった。すべての年代で女性のポイントが高いが、70歳以上は男性が50.6%、女性は75.9%と男女差のポイント差が小さくなっている。
2. 身体活動・運動に関する状況
■運動習慣者の状況
運動習慣のある者とは、1回30分以上の運動を週2日以上実施し、1年以上継続している者のこと。運動習慣のある者の割合は、男性35.0%、女性29.2%で、前年に比べて男女ともその割合は変わらない。男女ともに高齢者の運動習慣は高く、60歳代は男性41.9%、女性40.8%、70歳以上は男性47.7%、女性34.5%で平均より高い値で、「健康日本21」の目標値の男性39% 女性35%と同等以上だった。
■歩数の状況
歩数の平均値は、男性7,233歩、女性6,437歩で、前年に比べて男性は変わらず、女性は増加している。 60歳代は男性が7,307歩、女性が6,705歩と平均より多かった。
■健康づくりのための身体活動や運動の実践状況および期待する効果
現在、健康づくりのための身体活動や運動を実践している者の割合は39.4%で、70歳以上では半数を超えている。 身体活動や運動に期待する効果としては、男女とも「生活習慣病や肥満の予防・改善」と回答した者の割合が最も高く、男性が62.2%、女性が64.0%だった。また、70歳代では男女とも「要介護とならないため、もしくは悪化させないため」と回答した者の割合が最も高かった。
3.喫煙に関する状況
■喫煙の状況
現在習慣的に喫煙している者の割合は、20.1%であり、前年と変わらない。性別では、男性32.4%、女性9.7%で、前年に比べて男性は変わらず、女性は増加している。
■喫煙本数の状況
現在習慣的に喫煙している者のうち、1日に21本以上吸う者の割合は、男性14.7%、女性5.4%であり、前年と比べて男女ともその割合は変わらない。1日に21本以上吸う者の割合は、男性は60歳代が23.0%と全年代でもっとも多く、女性は70歳以上が6.7%と平均より高い。
■禁煙意志の有無
現在習慣的に喫煙している者のうち、たばこをやめたいと思う者の割合は、男性32.8%、女性42.8%で、前年と比べて男女ともその割合は変わらない。たばこをやめたいと思うのは、女性の70歳以上が53.3%で、全年代でもっとも高かった。
■たばこの値上げの影響
2010年10月のたばこの値上げで喫煙状況に影響を受けた者の割合は、29.2%だった。 そのうち、たばこの値上げで受けた影響として、「吸うのをやめた」と回答したのは15.0%、「ずっと吸っているが、本数を減らした」と回答したのは39.0%だった。
4.飲酒に関する状況
■飲酒の状況
飲酒習慣のある者の割合は、男性35.1%、女性7.7%であり、前年と比べて男女ともその割合は変わらない。男性は60歳代が42.7%で、全年代で2番目に多かった。
5.休養などに関する状況
■日常生活の中で感じている悩みや不安
日常生活の中で感じている悩みや不安の理由について、「自分の健康について」と回答した者の割合が男女とも最も高く、男性42.1%、女性48.2%だった。高齢になるほどその割合は高く、男性の60代は.47.1%、70歳以上は 54.3%、女性の60代は54.0%、70歳以上は61.6%が「自分の健康について悩みや不安を感じる」と回答している。
――国民健康栄養調査(2)へ続く
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