厚生労働省は、このほど平成23年国民健康・栄養調査の結果を発表した。後半は、主に身体状況についての調査結果を紹介する。
6.身体状況および糖尿病などに関する状況
■肥満およびやせの状況
肥満者(BMI≧25)の割合は、男性30.3%、女性21.5%で、前年と比べて男女ともその割合は変わらない。やせの者(BMI<18.5)の割合は、男性4.6%、女性10.4%で、こちらも前年と比べて男女ともその割合は変わらなかった。女性の高齢者では、肥満者の割合が60歳代が24.4%、70歳以上が26.4%で、前年よりポイントを下げているとはいえ、平均より高いのが興味深い。
■糖尿病が強く疑われる者の状況
糖尿病が強く疑われる者の割合は、男性15.7%、女性7.6%であり、前年と比べて男女とも変わらない。男性の60歳代は22.7%、70歳以上23.0%、女性の60歳代は12.5%、70歳以上は11.8%と高齢になるほどその割合は高い。
■糖尿病の指摘および治療に関する状況
糖尿病といわれたことがある者の割合は、男性15.7%、女性8.6%だった。 そのうち、糖尿病の治療を「これまでに治療を受けたことがない」と回答した者の割合は、男性27.7%、女性25.6 %で、「過去に受けたことがあるが、現在は受けていない」と回答した者の割合は、男性11.3%、女性9.8%だった。男性の60歳 代は26.5%、70歳以上は24.2%、女性60歳代は13.3%、70歳以上は13.9%だった。
■血圧に関する状況
収縮期(最高)血圧の平均値は、男性135.0mmHg、女性128.0mmHgで、前年と比べて男女とも変わらない。また、収縮期(最高)血圧が140mmHg以上の者の割合は、男性36.9%、女性27.4%で、前年と比べて男女とも変わらなかった。血圧についての年齢階級別のデータはなかった。
■血中コレステロールに関する状況
血清総コレステロールの平均値は、男性196.7mg/dL、女性206.2mg/dLであり、前年と比べて男性は減少しているが、女性は変わらない。また、血清総コレステロールが240mg/dL以上の者の割合は、男性10.2%、女性16.4%で、前年と比べて男性は減少しているが、女性は変わらなかった。血中コレステロールについての年齢階級別のデータはなかった。
7. 歯の健康に関する状況
■入れ歯の使用状況
食事の時に、いつも入れ歯を使っている者の割合は24.0%で、60歳代は 32.2%、 70歳以上は60.1%だった。
■歯科健康診査や専門家による口腔ケアの受診頻度
歯科健康診査や専門家による口腔ケアの受診頻度は、「半年に1回以上」と回答した者の割合が21.9%で、「1年に1回程度」と回答した者の割合が26.5%だった。
■咀嚼の状況
ふだん食べるときに、何でも噛んで食べることができる者の割合は88.0%であり、よく噛んで味わって食べている者の割合は77.1%で、70歳以上は84.1%と高かった。
8. 健康寿命や地域のつながりに関する状況
■「健康寿命」の認知度及び健康寿命延伸のための取組
「健康寿命」という言葉も意味も知っていた者の割合は20.0%で、70歳以上は 27.6 %と全年代でもっとも高かった。 健康寿命を延伸するために、良い生活習慣を実践している者の割合は38.5%で、 60歳代はは49.4%、70歳以上50.3%と高い割合を示した。良い生活習慣を実践していないと回答した者のうち、「すぐにも改善したい」と回答した者の割合は、全年齢階級で2割以上だった。
■地域のつながりの状況
地域の人々は、「お互いに助け合っている」と思う者の割合は50.4%、「信頼できる」と思う者の割合は52.9%、「お互いにあいさつをしている」と思う者の割合は81.7%、「問題が生じた場合、人々は力を合わせて解決しようとする」と思う者の割合は50.7%だった。いずれの項目も、年代が高くなるほど、「思う」と回答した者の割合は高くなる傾向がみられた。
【栄養素・食品摂取量などに関する状況】
参考資料より、朝食の欠食率と食塩摂取量に関するものを紹介する。
■朝食の欠食率
朝食の欠食率は、男性14.4%、女性11.1%であり、前年に比べて男女ともその割合は変わらない。欠食率が高いのは20歳代の男女を筆頭に30・40代の男性で、60歳代・70代以上ではその割合は低い。高齢者でもっとも高いのは女性の60歳代の7.6%で、前年の5.4%より高くなっているのは気にかかる。
■食塩摂取量
成人の食塩摂取量の平均値は、男性11.4g、女性9.6gであり、男女とも前年と変わらない。男性の60歳代が12.3g、女性の60歳代が10.4gで、いずれも全年代で最も多かった。
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