綾戸智恵氏「歌う10年より多くのものを得た介護の1年」介護の日フォーラムレポ3

11月11日「介護の日フォーラム」では、ジャズシンガーの綾戸智恵氏が記念講演を行った。介護の体験談にありがちな深刻さを感じさせない関西弁を交えた軽妙な語り口に、コンサートステージ同様、会場はたびたび笑いの渦に包まれた。

綾戸氏は「福祉介護を目指す人、働く人へのメッセージ〜家族の介護を通して感じたもの〜」と題した講演の冒頭に原稿も持たずマイク1本で「まいど」と手を振って登場。会場となった東京国際フォーラムは、くしくも、デビュー10周年を機に母親の介護のため、コンサート活動休止前の最終公演を締めくくった場所だった。

小柄な体にパンチの効いた歌声で年間100本ものライブをこなす綾戸氏が、初めてその歩みを止めざるを得なくなったのは脳梗塞に倒れた母親の介護。綾戸氏は「歌っていたときは2年先までスケジュールが入っているのが誇りだったが、その誇りはプレッシャーに変わった」と歌手活動を休止し、介護生活へ突入した体験を語り始めた。

毎日、母の車いすを押して買い物に行っていた綾戸氏は、ある日、体重20キロ差の母の重さに坂道であえいでいると、「歩こか」の一言で本人が歩き出したエピソードを紹介。理学療法士作業療法士リハビリでも歩かなかった母が歩いたことに「プロでは治せないことも私の介護なら」と思ったが、後日「智恵ちゃんに何年も言いたかった」という母の言葉が「ありがとう」の一言だけだったことに衝撃を受ける。
たった5文字の“ありがとう”に込められた感謝や謝罪の気持ちを娘に伝えられないほど、食事に着替えに排泄にとドタバタしていた日々の余裕の無さに、「私のしていたケアは流れ作業のようで、本当の介護ではなかった」と反省したという。

また、綾戸氏は「母は娘を歌手として復帰させたいという思いからデイサービスに行くようになったが、こうした介護職のサポートがあるからこそ私はステージに立てる。介護職は高齢者介護する家族にとってのライフセーバーだ。介護職のみなさんは私が生きていくための必需品です」と介護職への感謝を表した。

と、同時に、施設を利用したり、ヘルパーサービスを受ける側の立場から、「身内をプロに預ける家族のほうも“生きている人間ならば転倒することもある”とか“1回くらい服薬を忘れても死にはしない”くらいの覚悟をすべき。介護職に対し完璧さを求めすぎている。法改正だけでなく家族の意識も改正しよう」と、会場を埋めた人々に理解を求めた。

今年9月に歌手活動を再開した綾戸氏は、「歌い続けた10年よりも母を介護した1年のほうが、得るものは多かった」と笑顔で語り、会場からは大きな拍手が送られた。

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