矢野経済研究所では、60歳以上のシニア層に対して「食」に関するアンケート調査を実施し、その結果を6月14日に発表した。
この調査は、2012年4月〜5月に、自宅に居住する全国の60歳以上の男女1,159名(男性924名、女性235名)にインターネット形式で実施。
■調査の背景:
超高齢社会に対応するため、政府は高齢者福祉政策の中心にある介護保険制度において2006年4月から「予防重視システム」を導入した。高齢者の生活機能の低下を予防する上でも「食事」が重要な役割を果たしていることから、この調査では全国の60歳以上の男女に対して食事の実態等に関するアンケート調査を実施した。
調査の結果、以下のような傾向が見て取れた。
■果物や野菜、魚類を摂取するといったバランスのとれた食事を好む
日頃の食事への気遣いについて(複数回答)、「野菜や果物を食べる」が67.0%、「バランスのとれた食事」61.9%、「魚を食べる」56.5%など本調査対象のシニア層は食生活への意識の高さが窺える。日頃の食生活については健康であってもある程度気を遣う層は存在しているものの、シニア層においてはこうした傾向がより強くなるものと考えられる。
■シニア層は主に自宅で食事を作って食する「内食」傾向
各食事の調理方法と食事形態について(複数回答)、1日の食事別にみてみると、いずれも家族、あるいは自身が調理するという内食を好む傾向にあることが示されている。食事形態については概して外食に出かけたり、惣菜を購入したりする層はそれほど多くはなく、また配食サービスや特定疾患向けの出来合い食事サービスについての利用も少ない。
■困っているのは栄養価や栄養素に配慮した食事の見直し
日常の食生活について、大半は困っていることなどはないと感じている一方で、塩分やカロリー調整、栄養のバランス、献立のマンネリ化など、栄養価や栄養素に配慮した食事の見直しにはうまく対応できていない層や、また食事を作るのが面倒、あるいは買い物が大変という層も存在している。
こうした食事問題の解決はシニアの健康維持を図る上でも重要な課題といえるが、外部に依存するにしても金銭的な負担は避けられず、また単身者にとっては家族の助言や調理支援を受ける機会も少ないといった問題もある。
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