株式会社シマダ製作所は、脳卒中や交通事故などの後遺症で、言葉が出にくくなった人のための失語症言語訓練器「言語くん自立編2」を発売した。同訓練器は会話補助にも使えるほか、自立支援用具としての助成対象商品となっている。
使い方は、指先タッチで簡単に操作可能。携帯に便利な手帳サイズで、場所を問わずいつでもどこででも気軽に使える。病院を退院し、自宅復帰した人には特に使ってもらいたいコミュニケーションツールとなっている。
【機能】
◆便利な50音会話補助機能
・あらかじめ作成した文章を無制限に登録可能。
・文字数にも制限がないので単語だけでなく、長い文章も登録可能。
・伝えたいときに登録した文字にタッチすれば音声で相手に伝える。
・音声は男性・女性の2種類から選択可能。
・読み上げる音声の速さは7種類から、読み上げる音声の高さは5種類から選択可能。
・登録した単語や文章は、順番を自由に変更して並べ替えることが可能
◆言語訓練機能
病院のリハビリ訓練で使用したエスコアールの絵カード2001から、基本的な絵カード語彙を750枚使って訓練。(2〜9文字、2語文、3語文)
・訓練画面では、「絵を見て名前を言う」、「ノートに書く」訓練が基本となる。
・ヒントに触れて語頭を聞く、文字に触れて漢字、かなを読む、絵に触れてお手本音声を聞き、復唱するなどの操作を「自分で進めることが出来る」ようになっている。
◆唄機能
誰でも歌ったことがある50曲の唱歌メロディーでカラオケが楽しめる。
◆計算機能
・1桁、2桁、3桁の選択、+、−、×、÷の選択、問題数の選択し、問題が出たら、紙に書いて計算し、答え合わせは、画面右の空白に触れて答えを見ることができる。
・計算のプログラムは紙に書くこと、計算して答え合わせができることを想定している。
脳梗塞により右片麻痺と失語症を発症、回復期リハ病院で集中的な言語訓練と退院後の外来で言語訓練が終了し2年が経過した症例。
右下肢は、一本杖にて自立、失語症は重篤な障害が残存していた。
【WAB失語症検査結果】
平成21年3月より「言語くん」を使用、1か月後にWAB失語症検査を実施。
結果、混合性失語が認められた。
自発話:感情後「ちくしょうー」や常套語「いや・そうそう」が中心。
復唱:2〜4モーラの高頻度。
呼称:重篤。
以降3か月ごとに実施。
【結果と考察】
・失語症は、発症後年数が経過しても、本人に「やる気を起こさせる環境」を提供することにより短期間でも改善していくものと思われる。
・特に中等度〜重度な失語症の場合、回復期病院を退院後、外来でのフォローも時の経過とともに減少し、失語症状も固定化していく。
・このケースの場合、「自立編2」を用いたことで再度「やる気」(心が動き)が起こり脳の可塑性、言葉の生成等に繋がったものと考えられる。
【価格・給付申請】
価格:138,700円(税込)
・携帯用会話補助装置の最大給付額は、98,800円のため、商品との差額分(138,700円‐98,800円)39,900円が購入者の負担額となる(給付を受けるには、身体障害者手帳が必要)。
(市町村によっては音声言語記載も必要な場合がある)
【言語くん自立編?展示場所】
東京都障害者IT地域支援センター
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