「自分の介護の準備していない」――第一生命経済研究所調査

株式会社第一生命経済研究所は、全国に居住する30〜69 歳の男女1200 名を対象に、「自分の介護の準備」についてのアンケート調査を実施し、このほどその結果を発表した。

自分が介護が必要になった時、多くの人が「お金と家族の負担」について不安をもっているが、約半数の人が介護の準備はしておらず、その理由は「現在のことで精いっぱい」だから――調査の結果からは、介護への不安を持ちながらも対処するのがむずかしい現実が明らかになった。

また、長生きについての質問では、多くの人が「80〜84 歳」を長生きと考えており、希望する寿命もほぼ「80〜84 歳」まで。認知症が増えるなど、介護不安が高まる85歳以上は生きていたくないと考えていることがわかった。

調査からは、介護経験者の4割近くがケアマネなど介護事業者に不安や悩みを相談したことがあり、女性よりも男性の方が介護の専門家を頼りにしているなど、興味深い傾向も明らかになっている。

【調査の概要】
・全国の30〜69 歳の男女1,200 名(第一生命経済研究所 生活調査モニターより抽出)
うち男性537人・女性555人、介護経験あり342人(31.3%)・介護経験なし732人(67.0%)
・実施時期 2011 年11 月29 日〜12 月13 日
・有効回収数(率) 1,092 名(91%)

主な調査の結果は下記の通り。

介護の不安は、お金と家族の負担。約半数が「介護の準備はしいてない」

「将来、自分に介護が必要になったときに不安に思うこと」についてたずねたところ、もっとも多かったのが「自分の介護にいくらお金がかかるか分からないこと」(91.8%)。次いで「家族に精神的負担をかけるかもしれないこと」(90.4%)「家族に肉体的負担をかけるかもしれないこと(90.2%)で、いずれも9割以上が不安に思うと回答した。

「将来、自分に介護が必要となったときのためにどのような準備をしているか」との質問には、約半数が「特に準備をしていない」(45.7%)と回答。介護経験がない人では52.0%で、介護経験がある人に比べて19.3 ポイントも高かった。準備をしている内容では、トップが「預・貯金をする」で全体の43.5%だった。全般的に、介護経験がある人はない人と比べて介護の準備に対する意識が高く、「公的介護保険制度について情報を集める」では15.5 ポイント、「介護の手段や方法についての情報を集める」では14.4 ポイントの差がついた。

介護の準備をしていない理由は、「現在のことで精いっぱい」

自分の介護のために「特に準備はしていない」と回答した人にその理由をたずねたところ、第1位が「現在の生活だけで精一杯だから」(62.1%)で、第2位「まだ年齢が若いから」(42.3%)、第3位「何をしていいかわからないから」(38.9%)とかなりの差がついた。「現在の生活だけで精一杯だから」と回答した人は、40 代女性が81.4%と際立っており、逆に少ないのは60 代男性(22.0%)だった。また、60 代男性・女性ともに「自分に介護が必要になるとは思わないから」「公的介護保険制度で十分と思っているから」と回答した割合が、他の年代に比べて高かった。

準備をしている人にそのきっかけをたずねたところ、第1位が「家族・親族に介護が必要となったため」(31.0%)、次に「新聞・TV・雑誌等で介護について目にしたため」(25.6%)だった。また、介護経験がある人に、「介護をする前から準備しておけばよかった思うこと」をたずねた結果では、「介護の手段や方法についての情報を集める」58.2%、「公的介護保険制度について情報を集める」55.0%で、半数以上が情報収集の必要性を感じていることがわかった。

介護の悩みをケアマネに相談するのは男性が多い

介護経験がある人に「介護で不安になったり、悩んだとき、相談相手として誰を頼ったか」をたずねたところ、第1位は「同居の家族・親族(49.1%)、次いで「別居の家族・親族」(39.2%)、「介護事業者(ケアマネジャーなど)」(38.0%)だった。性別でみると、「同居の家族・親族」以外では、男性は女性に比べて、「介護事業者(ケアマネジャーなど)」や「役所の高齢福祉担当」など専門家に相談する傾向があり、女性は男性に比べて「友人・知人」など気心知れた人に相談する傾向があることがわかった。

■長生きはしたいが、85歳以上は生きたくない人が大半

「あなたは何歳まで生きたいですか」とたずねたところ、男女ともすべての年代で「80〜84 歳」と回答した人がもっとも多かった。男性の69.8%が80 歳以上と回答しており、平均寿命(79.6 歳)より長く生きたいと考えているが、女性では75.5%が86 歳以下と回答しており、平均寿命(86.4 歳)より早く人生を終わらせたいと考えていることが分かった。また、「長生きとは何歳以上のことをいうと思いますか」との質問では、男女とも「80〜84 歳」と回答した人がもっとも多かった。

長生きをすることに不安を感じている人は78.2%で、男性(73.9%)より女性(82.3%)の方が不安を感じている人が多い。不安を感じる理由としては、「体力が低下してしまい、日常生活が不便になるから」(71.8%)、「介護が必要になるから」(67.4%)などだった。30 ・40 代では、「長生きすることで、たくわえが減って生活資金が足りなくなるから」「長生きすることで、年金の受取額で生活がしていけるかわからないから」という金銭的な面での不安をあげる人が多かった。

◎株式会社第一生命経済研究所

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