介護保険制度改定最新情報――厚労省介護保険指導室長講演(2)

特定非営利活動法人「楽」は、1月25日、厚生労働省老健局の担当者を講師に招き、2012年度介護保険制度改定とその展望についての最新情報をテーマに講演を行った。その後半の内容および参加者からの質疑応答をお届けする。

【地域ニーズに応じた事業者の指定】
居宅サービスについては都道府県が指定するが、定期巡回・随時対応サービス事業者は市町村が公募を通じた選考で指定できるようにする。また、居宅サービスについても、市町村との協議制が導入される。これは画期的なこと。

【保険者による主体的な取組の推進】
地域密着型サービス等については、市町村独自の判断で全国一律の額以上の報酬を設定してもよい。これも画期的なこと。ただし、それに伴い、保険料が上ることになる。

地域包括支援センターの機能強化】
同センターは介護サービス事業者医療機関、民生委員ボランティア等の関係者との連携に努めること、市町村は委託型の同センターに対して、業務を丸投げすることなく運営方針を明示すること。

【報酬改定】
介護報酬の改定率は、プラス1.2%(在宅1%、施設0.2%)となった。どこにも財源はないのでマイナスだと思っていたからまずはよかった。これは、処遇改善交付金分を報酬に直した2%を含むもので、実質は0.8%の引き下げとなる。その理由としては、介護職員の処遇改善、物価の下落状況、介護授業者の経営状況(今回、ケアマネ事業所以外は利益が出ている)、地域包括ケアの推進などを踏まえた。やっと取れた数字。診療報酬は0.004%だった。

改定の方向としては、介護サービスの効率化・重点化と機能を強化する観点から、施設から在宅介護への移行を図る。介護予防・重度化予防については、真に利用者の自立支援になっているかを見直す。介護職員の処遇改善を確実に行うために、事業者が人件費に充当するための加算を行うなど必要な対応を講じることとする。

【持続可能な制度の構築に向けて、】
質の高いケアプランを作ること。ケアマネ事業所がしっかりしないと在宅はできない。自立支援ケアプランと言わなくてはならなというのは情けない話。いつごろから言われているのか。私はケアプラン作成の1割負担を入れたかった。それくらいしないと質が図れないのではないかと思っている。

ケアマネジメントも含めて、今後、介護の質の評価が問われるのではないか。高額所得者は2割にすればいいのではないか。経営の見直しなど、効率化を図る議論が2、3年後にする必要がある。

【その他の改定のポイント】
1) 訪問介護の生活援助の時間区分が見直されて45分以上、45分未満に分かれ、単価が変わっている。45〜60分は単価が引きあがっているので、時間を見直してみるといいのではないか。ダラダラやっているのを防ぐ。家事支援をしているわけではない。見守りの示唆で取れるかも知れない。ケアマネと連携しながらやるとか。身体介護を見直して20分未満の単位数を入れた。

2) 2級ヘルパーのサービス提供者がいたら報酬を10%減算する。これは、積極的に1級にとってもらいたいという意向。ただし、1年間の経過措置がある。

3) 訪問介護で、事業所と同一の建物に一定数の利用者がいる場合については減算する。

4) 大きい変更は、管理責任者が、従業員ではなく、利用者に対しての配置に変わったこと。利用計画を見直してもらいたい。

5 ) デイサービスでは、時間区分が5-7、7-9に変わった。単価も6-8よりも7-9の方が高い。12時間預けられるようになり、よりレスパイト機能が求められている。送迎の時間、人員配置の考え方、かかる費用、ローテーションを考えなければならない。複合型については、要介護3で25万1,100円。看護の部分が2万弱くらい上がる。グループホームでは、要介護1,2に固まっているところは事業が厳しくなる。夜間ケア加算などを見直して、なおかつ、処遇改善加算という形で入ってくる。加算率は処遇改善交付金と同じ。訪問介護4%、小規模4.2%、グループホーム3.9%、特養2.5%など。事務的に加算を取り直さなくてはならないから大変なのだろう。余ったらどうするかなどの課題がある。

6 ) 市町村ごとの介護報酬水準を定めた地域区分を5区分から7区分に変更する。横浜・川崎は12%、横須賀は10%。

質問1)【広域型の訪問介護について】
事業者の指定、公募することについて。基本的に更新時に恣意的に指定をしないということは想定していない。

質問2)【利用者の1割負担について】
基本的には1割負担は変わらない。保険はその年のものをその年に使うのが原則。サービスの向上、自然増分をどうするか。利用者に負担を求めようという議論も将来的にはあるかもしれない。高額所得者についてどうするか。韓国では在宅と施設で負担額が違うという例もある。

質問2)【24時間型の訪問介護訪問看護について】
プランはケアマネ事業所が作成する。24時間の介護計画はサービス提供者が作成してそれをケアマネ事業所が評価する。限度額はそのまま維持される。ただし、これを使いつつ、デイやショートを使うときは、限度額を超えないように一定額を減額する。通所利用した場合、1日分の3分の2を減算するなど。

質問3)【サービス付高齢者住宅の入居者像】
65歳以上なら誰でも入ることができる。サービスに見合う形で入居者を募集しても問題ない。要介護3以上にすると、採算が取れるなどと考えることは可能。

質問4)【入退院時連携のケアマネ事業所の報酬について】
月ごとに150単位だったのを、入院連携加算ということで200単位にする。医療機関に訪問をしない場合は100単位にする。退院対処加算(月600単位)をなくして、1回あたり300単位で3回、900単位までとする。緊急時カンファレンス加算を作る。病院と診療所の職員と、ケアマネが一緒に居宅でカンファレンスをして居宅サービスの利用調整を図ると1回200単位、複合型サービスへ情報を提供すると、小規模の事業者との連携で300単位。

質問5)【地域包括事業について】
包括の評価について今はない。これは考えなくてはいけない。保険者から委託か直営か。全面委託になっているところもある。

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