ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカルカンパニーは、「骨盤臓器脱」のハイリスク層である50代〜70代の女性530名、骨盤臓器脱の症状を認めた人がまず受診すると思われる婦人科開業医100名を対象に、骨盤臓器脱に関する調査を実施。その結果を公表した。
骨盤臓器脱とは、女性の骨盤のなかにある臓器が本来の位置より下がり、場合によっては膣の外に出てきてしまうという病気だ。出産や肥満に伴い、骨盤底にかかる負担や、加齢に伴う筋肉量の減少、閉経後の女性ホルモンの減少による骨盤底の支持力の低下などが原因と考えられている。
調査の結果によると、6割以上が骨盤臓器脱について「知らない」と回答。「よく知っている」と答えたのは3.2%、「ある程度知っている」は10.6%、「名前は聞いたことがある」は22.5%、「知らない」と回答した人は63.8%だった。
さらに、骨盤臓器脱を「骨盤の中の臓器が膣の方に出てきてしまう病気」であると正しく認識している人は、「知っている」と回答した人の64.1%。全体の23.2%に留まった。
正しく理解している人のうち、「骨盤臓器脱の症状を有している/有していた」人は7.3%。最も多くあげられた症状は、「膣の中から臓器が出てくる」で約9割。「股に何か挟まっている異物感がある」(44.4%)、「尿が出にくい」(44.4%)と続いた。
一方、婦人科開業医への調査では、骨盤臓器脱の症状を抱えていても、何の病気かわからずに来院したケースが44.0%、他の病気で来院した患者に骨盤臓器脱の症状が認められたケースが3.0%と、およそ半数が、病気について知識がないまま来院していることがわかった。
また、患者が来院するまでに1年以上がかかっているケースが32.0%あった。受診が遅れる理由として挙げられたのは、次のようなもの。患者が受診を躊躇するケース、病気に対する知識不足から受診が遅れるケースが多いことがわかる。
・「下の病気で恥ずかしいと思っていたから」89.0%
・「老化現象であり病気だと思っていなかったから」35.0%
・「治療できると思っていなかったから」28.0%
同社によると、アメリカでは女性の10人に1人が生涯のうちに骨盤臓器脱か尿失禁の手術リスクがあると言われ、スウェーデンの調査では20〜59歳の女性の31%、出産経験者の44%が骨盤臓器脱であると報告されているとのこと。
◎ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカルカンパニー
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