東北大学大学院医学系研究科中心血圧研究寄附講座の橋本潤一郎准教授と、腎・高血圧・内分泌分野の伊藤貞嘉教授は、高血圧症や動脈硬化によって起こる腎臓障害のメカニズムを解明したことを報告した。
高血圧は慢性腎臓病の危険因子である。慢性腎臓病の初期には、微量のアルブミン(たんぱくの一種)が出現することが特徴だ。このたび橋本准教授らは、手首の表面で記録した血圧の波形から、体内深部の大動脈の血圧(「中心血圧」と呼ばれる)を推定し、中心血圧の拍動が増大すると、尿中のアルブミンが増加することを発見した。
中心血圧は、上腕で測る一般的な血圧とは異なり、新たな血圧指標として、世界的に注目されているものである。その理由は、高血圧や動脈硬化によって生じる臓器障害の程度を、より鋭敏に反映すると推測されることによる。
今回の研究では、高血圧症の患者を対象に、中心血圧を調べ、その最大血圧と最小血圧の差が大きいほど、腎臓内の微小血管が障害されやすくなることを見出した。
このことは、中心血圧の測定が、腎臓障害の早期発見、早期治療に役立つことを示唆しており、今後の高血圧診療において、中心血圧が活用されると期待される。
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