厚生労働省は、11月10日、第84回社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。この日は多くの議題について議論が交わされた。社保審レポ後半は、特定施設入居者介護の基準・報酬について、および口腔・栄養関連サービス、福祉用具についての論点を紹介する。なお呈示された論点は決定事項ではなく、「このようにしてはどうか」と提案されたもの。
・協力医療機関との連携による対応を評価するため、グループホーム同様、看取り介護加算を創設。
・レスパイトケアの充実のため、グループホーム同様に空室の短期利用を認める。
・介護事業経営実態調査における収支差率を勘案し、要支援と要介護の介護報酬バランスの適正化を行う。
【サービス付き高齢者向け住宅】
・入居者が重度化しても安心して暮らせるよう、居宅サービスとの連携のあり方を考える。
・24時間対応の定期巡回・随時対応サービス等の居宅サービス提供事業所を併設する場合の囲い込みにかかる報酬の減算については、今後の「サービス付き高齢者向け住宅」の整備状況を踏まえて検討。
・「サービス付き高齢者向け住宅」を拠点として、居宅サービスを地域に展開していくことによる、地域表活ケアシステムの実現について考える。
【入所者に対する口腔関連サービス】
・口腔機能維持管理加算は、歯科衛生士が介護保険施設の介護職員に対して口腔ケアにかかる技術的助言および指導等を行っている場合を評価しているが、入所者に対する口腔ケアを充実する観点から、歯科衛生士が入所者に対して口腔ケアを実施した場合についても評価する。
具体的な対応として、入所者に対して週1回以上口腔ケアを実施した場合を評価する。
【入所者に対する栄養関連サービス】
・栄養ケア・マネジメントを充実させ、「口から食べること」を支援する観点から、経口維持、経口移行の支援が進むような基準や体制にする。
・具体的な対応として、経口維持加算については算定要件を緩和し、必要とされる利用者にそのサービスが提供できるようにする。
・また多職種が共同して摂食・嚥下機能評価、課題解決できる体制の整備を進める。なかでも言語聴覚士との連携の強化について、通知等への明記を行う。
【福祉用具】
・介護報酬の請求を行う際の商品コードについて、統一的なコード(例:TAISコード)を導入する方向で関係者と調整を進める。
・個々の利用者の状態像や生活環境に応じた福祉用具の選定や、ケアマネジャーなどの専門家との円滑な情報共有を図るため、福祉用具専門相談員が利用者ごとに「個別サービス計画」を作成することを指定基準に位置づける。
介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会で検討した結果、対象種目が追加される。
■福祉用具(貸与)
1)介助用ベルト(入浴介助用以外のもの)→「特殊寝台付属品」の対象の拡充
2)自動排泄処理装置(尿と便が自動的に吸引でき、洗浄機能を有するもの)→「特殊尿器」を福祉用具の貸与種目に追加
■特定福祉用具(購入)
便座の底上げ部材→「腰掛便座」の対象の拡充
■住宅改修
1)通路等の傾斜の解消→「段差の解消」の対象の拡充
2)扉の撤去→「扉の取替え」の対象の拡充
3)転落防止柵の設置→「段差の解消に付帯して必要となる工事」の対象の拡充
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