認知症につながる脳の疲労が体内滋養成分によって自然緩和――東京大学

東京大学は、アルツハイマー病モデルマウスを用いた研究で、体内に存在する抗酸化ジペプチド(カルノシン)に、認知機能の低下を回避する作用があることを、発見した。

実験は同大学大学院新領域創成科学研究科のブルーノ・エルクラノ(大学院修士課程2年)と久恒辰博准教授らの研究グループにより、アルツハイマー病モデルマウスを用い行われた。その結果、イミダゾールジペプチドの一つ(カルノシン)に、認知症予防作用があることを見出した。イミダゾールジペプチド(カルノシン)は、筋組織中に含まれている抗酸化作用を有し疲労を和らげるはたらきを持つ物質。

近年、高齢化が一段と進み、認知症患者が急増しているが、認知症アルツハイマー病)は、長い人生の中で、脳が使われすぎたための「脳の疲労」によると見る向きもある。なぜなら、認知症の原因とされる老人斑は、活発に活動する脳領域(海馬など)から順に蓄積することが発見されてきた。だとすれば、筋肉の疲労が体内抗酸化ジペプチドによって緩和されているように、認知症につながる脳の疲労もこの体内滋養成分によって自然と緩和されていることはないのか? 今回の実験はこの疑問を裏付けるものとなった。

実験には、アルツハイマー病原因遺伝子を組み込んだマウスを用い、生後4カ月から脂肪含量の高い飼料(高脂肪食)を与えることで老人斑の蓄積を早め、認知機能の低下を誘導したマウスにカルノシンを摂取させたところ、記憶機能の低下が、完全に(通常の健康なマウスと同レベルまで)回避されていることがわかった。

今回の結果から、抗酸化ジペプチドであるカルノシンに記憶機能の低下を防止する作用があることが見出された。今後は、その作用メカニズムの解明や臨床試験を通じて、さらに検証を進めていく必要性があるが、本研究の成果は、筋肉や脳組織中に存在する生体内物質であるイミダゾールジペプチドを介して、認知症に対する新しい予防法の開発を可能にするものとして期待される。

◎東京大学 

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