歩行補助つえ、歩行器など、貸与から購入への変更も検討

福祉用具における保険給付の在り方に関する検討会は、このほど、これまでの議論を整理し、介護保険における福祉用具の現状と課題、今後の方向性などについてまとめ、公表した。

まず、福祉用具貸与の費用額は、平成13年度の約685億円から増加を続け、平成18年、19年と一旦減少に転じたものの、その後、また増加。平成21年度の費用額は約1,912億円になっている。

福祉用具貸与の受給者数を要介護度別に見ると、要介護度1以下の軽度者が24.7%。一方、費用額を要介護度別に見ると、要介護度1以下は12.2%(20.4億円)で、要介護度3が23.1%(38.3億円)で最も多かった。

また、それぞれの福祉用具について、月額給付費、利用件数、1件当たり平均利用額の推移をみると、いずれも、利用件数と給付費は増加している一方で、市場の拡大に伴って1件あたりの平均利用額は低下傾向にあった。

メンテナンスの実施頻度は、貸与種目はほどすべての事業所で6ヶ月以内に1回以上実施されているのに対し、販売種目では実施していない事業所が3割程度みられた(図)。


図 福祉用具種類別のメンテナンス実施頻度

こうした現状を踏まえて、論点として挙がったのが次の3つ。

○論点1:いわゆる「外れ値」への対応について
○論点2:比較的安価な福祉用具の取り扱いについて
○論点3:専門職の関与と適切なアセスメント・マネジメントの推進について

このうち、同一製品であっても非常に高額な請求が行われているケース(「外れ値」)があるという問題については、介護給付費通知書に使用した商品ごとの貸与価格の分布状況を掲載するようにしたところ、貸与価格低下などの一定の効果がみられた。

2つ目の比較的安価な福祉用具の取り扱いについては、安価で経度者の利用が多く長期間の利用となる「歩行補助つえ」、「歩行器」、「手すり」、「スロープ」において、「貸与から販売への移行」、あるいは「貸与と購入の選択制」を導入してはどうかとの議論が行われた。
ただし、平均貸与期間が平均的な償却期間を超えているのは「歩行補助つえ」のみ(表)。事業者が定期的に関与する貸与という基本的な仕組みをあえて変更するのは、慎重に対応すべきとの意見もあった。


表 福祉用具種目別の価格状況

3つ目の専門職の関与と適切なアセスメント・マネジメントの推進については、「個別援助計画の位置づけ」、「専門職(医師、看護職員、作業療法士理学療法士など)との連携」、「サービス担当者会議の充実」、「福祉用具専門相談員の質の向上」、「介護支援専門員の研修カリキュラムの見直し」という5つの方向性について議論が行われた。

最後に報告書では、今後の方向性を次のように記載。

○「外れ値」の問題については、価格適正化のためのさらなる情報提供とその活用が必要。
○比較的安価な福祉用具の貸与と販売のあり方については、専門職の関与と適切なアセスメント・マネジメントが担保される仕組みの確立とあわせて、引き続き調査・検証が必要。
○専門職の関与と適切なアセスメント・マネジメントの推進については、個別援助計画の実施状況も踏まえての効果検証を行いつつ、専門職の関与の具体的な方法、介護報酬のあり方についても継続して検討する必要がある。

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