製薬会社のサノフィ・アベンティス株式会社は、一般生活者を対象とした「TIA(一過性脳虚血発作)認知調査」を実施し、4月22日、その結果を発表した。
TIAは最近「脳梗塞の前兆」として注目されている疾患で、本調査は一般生活者がTIAをどのくらい認知・理解しているかを調べる目的で、福岡県在住の40代以上の男女618名を対象にオンラインで実施された。
調査の結果、脳梗塞の認知率(どんな病気かも知っている+名前だけ知っている)は、ほぼ全員の99.7%であったのに対し、TIAの認知率は5.8%と大きな差がみられた。しかしながら、TIAの症状(片腕の力がだらんと抜ける、舌がもつれる等)は、加齢等に伴い一般的にもよく経験するものと同じでもあるためか、その症状を経験したことのある人は全体の13.3%と、比較的高い割合だった。
しかし、TIAと疑われる症状を経験したとしても、それがTIAという疾患名には結びついていないこと、また、TIAは脳梗塞の前兆であるという認識も低いことが明らかになった。
「過去半年間にTIAとも考えられる一般的な症状を経験したことを自覚している人」(13.3%)の、最も多い症状は、「舌がもつれる(6.0%)」「歩きづらく片側に倒れそうになった(5.8%)」であった。
「脳梗塞の前兆」について最近見たり聞いたりしたことがあると答えた人は全体の35.8%であった。それに対して「TIA」について最近見たり聞いたりしたことがある人は2.1%と、大きな差がみられた。
今回の調査結果を受け、社団法人 日本脳卒中協会福岡支部長の岡田靖氏(国立病院機構九州医療センター)は、「TIAを起こした方の多くは、その後、脳梗塞を起こすことが知られており、早期発見・早期治療が必要な疾患です。けれども、そのことは一般の方にはまだ認知されていないことが明らかになりました。脳梗塞やその前兆についての知識は広まっていますが、TIAのように一過性で症状が無くなった場合も、治ったと安心して受診しないのではなく、疑わしい症状があればまずかかりつけ医を受診していただくことが大切です」と述べた。
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