東京都はこのたび、65歳以上の高齢者を対象とした「高齢者の生活実態」について調査を行い、その結果を速報として公表した。
これによると、都内での「ひとり暮らし」世帯は全体の18.9%、「高齢者夫婦のみ」の世帯なども合わせた、「高齢者のみの世帯」は55.3%と過半数に及んだ。高齢者のみの世帯は、調査を開始した1980年の約2倍に増加していた。
一方で、1980年の調査では37.4%であった、「高齢者と子と孫」世帯は、今回の調査では9.2%と、4分の1程度に減少しており、3世代同居世帯が独居高齢者世帯の半分という数字に。
調査は、2010年10月13日現在の状況をたずねたもので、65歳以上の在宅高齢者6,000人を対象とし、4,767人から回答を得た(回収率79.5%)。
このほか、主な調査結果は次の通り。
【介護保険制度】
・要介護認定を受けているのは、全体の約1割。「認定を申請していない」が87.9%。
・要介護認定を受けている人の要介護度は、「要支援1」が最も多く22.0%、次いで「要介護2」18.0%、「要支援2」17.6%、「要介護1」15.6%、「要介護3」11.5%と続いた。
・介護保険サービスの利用状況については、利用している人の割合が高いのが「訪問介護」42.8%と「デイサービス・デイケア」41.4%、「福祉用具」34.1%。一方で、「制度を知らなかった」人の割合が高いのが、「小規模多機能型居宅介護」で、28.1%にも及んだ。
【日常生活支援サービス】
・介護保険対象外の日常生活支援サービス(民間・公的)に関する利用状況は、「利用している」のは全体の6.2%のみ。9割以上が「利用していない」。
・利用している人に、複数回答で利用サービスをたずねたところ、「家事援助(掃除・洗濯・買い物など)」、「配食サービス」が多かった。
・今後、利用したいサービスについては、「利用したいサービスはない」が37.2%で最も多く、「家事援助」36.1%、「配食サービス」30.8%、「通院の付き添い」20.9%と続いた(複数回答)。
【住まい】
・現在住んでいる住宅の種類は、「持ち家(一戸建て)」が最も多く61.1%、次いで「持ち家(分譲マンション等)」17.3%。「高齢者向け住宅」は0.5%にとどまった。
・高齢者向け住宅に対する認知度は、「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」を「知っている」のは16.1%、「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」は19.3%、「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」は18.0%と、「シルバーピア」は17.7%、「ケアハウス」23.7%。ケアハウス以外は、いずれも2割を下回った。
・高齢期に希望する住まいは、「在宅で暮らしたい」が73.8%。このうち、「現在の住宅にそのまま住み続けたい」が72.4%で、「子どもや親族の家に移りたい」が1.4%。
一方で、「高齢者用の住宅・施設に住み替えたい」も11.6%だった。
・ただし、自宅以外に住むことになった場合に、支出できる費用は、月に「5〜10万円未満」が28.0%で最も多く、次いで「5万円未満」27.2%。
【収入】
・現在、収入のある仕事をしているのは29.0%で、70.7%は「仕事をしていない」。「仕事をしている」割合は、2005年調査に比べて1.6ポイント増加していた。
・収入の有無については、「収入あり」は98.3%で、「収入なし」は1.4%。収入源の内訳は、「公的な年金・恩給」が73.7%で最も多く、「仕事による収入」15.3%、「家賃・地代」6.2%。
・対象者本人の年収は、「50万円以上100万円未満」が最も多く17.8%、次いで「300万円以上500万円未満」が12.6%だった。
・世帯の家計状況は、「全く赤字にならない」が31.1%、「ほとんど赤字にならない」が27.6%で、約6割は赤字にならないと回答。一方で、「ほぼ毎月赤字になる」も13.1%。