介護職員処遇改善交付金は維持を?――第74回社保審リポート(1)

厚生労働省は5月13日、社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。
この日の議題は、「介護人材の確保と処遇の改善策について」と「定期巡回・随時対応サービスおよび複合型サービスについて」の2点。

まず、人材と処遇の問題については、厚生労働省から現状を示す資料が配布された。

資料によると、介護職員数(常勤+非常勤)は、平成12年の介護保険制度創設時の54.9万人から134.3万人(平成21年)に倍増。サービス類型別にみると、居宅サービス事業所の伸びが大きかった。
介護職員の平均賃金水準は、平均年齢や勤続年数の違いがあるものの、産業計の平均賃金、医療福祉分野の他職種の平均賃金に比べて低い傾向があった。特に、男性の賃金での開きが大きかった。ただし、短時間労働者の時給に関しては、産業計と同水準か、やや高い傾向にあった。
また、平成22年に介護職員処遇改善交付金を申請した事業所における介護職員の平成22年6月の平均給与額は、前年同月に比べて約15,000円増加していた。

厚生労働省担当者から資料について説明があった後、フリートーキングを実施。

介護職員処遇改善交付金に関しては、まず、中田清委員(全国老人福祉施設協議会会長)が、「交付金を維持することをぜひ、本会の総意として訴えてきたい」と発言。

勝田登志子委員(認知症の人と家族の会副代表理事)の代理で出席した田部井氏は、「交付金は目に見えて処遇改善に寄与しているので、評価している。利用者の立場としては、すべての負担を拒否するわけではないが、介護報酬に組み込むことは同意できない」。

日本慢性期医療協会会長の武久洋三委員は、「交付金は、介護保険介護職のみに出る。時期改定は医療介護の同時改定なので、医療介護職との整合性を調整することはできないだろうか」と意見。

交付金の継続を求める意見が相次いだ。そうしたなか、池田省三委員(龍谷大学教授)は、「介護職の賃金が安い、本当の理由は何かという議論が足りない。介護事業所は零細企業が多く、職員10人以下の事業所が4分の1。そうしたところでキャリアパスを整備するのは不可能だろう。経営のモデルコストを示して、それにはまっているのかみてはどうか。日本の介護事業所がこのまま零細企業体質を続けていくのであれば、未来はないだろう」と、時限的な対処ではなく、介護事業所のあり方そのものを見直すべきではないかと訴えた。


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また、田中滋委員(慶應義塾大学大学院教授)は、上のグラフが重要と指摘。このグラフを見ると、世の中の失業率が上がれば、介護職員の介護分野の有効求人倍率(求人の数÷求職者の数)が下がっている。「介護職員がプロフェッショナルになれば、失業率との関係がなくなるだろう」と、キャリアパスなど、専門性を高めることの重要性を述べた。

――社保審リポート(2)へ続く

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