シルバーサービス振興会は、3月8日、第229回月例研究会を都内で開催した。今回は社会保障審議会介護保険部会の委員であり、医療法人真正会・社会福祉法人真寿会理事長の斉藤正身氏が、「“医療と介護の連携”の現実に向けて〜現場での実践を踏まえて」をテーマに講演を行った。
斉藤氏は最初に、昨年末素案がまとめられた、「第5期介護保険事業計画に向けた制度の見直し」について、見直しの基本的な考え方と現状の課題について述べた。
現状の課題としては、要介護認定の再考、支給限度額の見直し、サービス再編、医療と介護の役割分担、処遇改善、安定した経営基盤などが挙げられており、それらすべてが「財源ありき」のため、ペイアズユーゴー原則に則って、必要な負担増に見合った財源を確保する事が求められる、とした。
また、地域包括ケアについては、「団塊世代が75歳をむかえる2025年の姿を想定したもので、病気や要介護であっても、個々人の心身状態にふさわしいシームレスなサービスの利用により、個人の自立とQOLの追求が可能なサービスを提供するもの」と説明し、しかしこの新たなシステムの推進のためには、「訪問介護と訪問看護の連携の下で行う24時間対応の定期巡回・随時対応サービスを創設し、介護保険事業計画における医療サービスや、住まいに関する計画との更なる連携を図ること、さらにそれぞれの役割分野や関係職種の連携、サービスの調整などについては、今後さらに議論を進める必要がある」と述べた。
斉藤氏はリハビリ病院、デイリハなどを運用しているリハビリの専門医でもあるが、「今回の改正案に、リハビリの強化や福祉用具について盛り込まれなかったのが残念」と延べ、「要介護者が、持てる能力に応じた自立した日常生活を営むことができるよう、能力の維持向上を図るためだけでなく、介護者の負担を軽減するためにもリハビリテーションは不可欠」と強調したうえで、しかし現状、訪問リハの利用率が低いこと、通所介護で類似のリハが提供されており、十分に効果あるリハビリが提供されていない状況を憂えた。
「リハビリについては、現存するサービスを効率的に活用するとともに、質の向上について検討すべきである。また、リハビリ専門職の果たすべき役割や、他職種とのかかわり方などについても、今後検討していく必要がある」と語った。
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