講演やケアマネジャー向けセミナーなど多方面で活躍中のケアマネジャー、本間清文氏の3冊目の著書となる『介護の現場がこじれる理由〜フリーのケアマネが見た在宅介護の10年』が2月、雲母書房より発行された。
本間氏は、あえてどこの事業所にも属せず、フリーな立場からケアマネジメントを行うことに専念するため、自ら単独型の居宅介護支援事業所「介護支援所ファイト」を設立。しかし、ケアマネジャーとして介護を必要とする人と向き合ったとき、そこにあったのは「なぜこうも介護の現場はこじれるのだろう」という疑問の嵐だった。介護を続けている老人・家族・介護従事者たちは、それぞれに一生懸命なのに、それらが結果として見えてこず、なかなか良い方向へ向かわない。「なぜだろう」と本間氏は考える。
本書では、本間氏自身がかかわってきた介護保険の10年を通して見えてきた怒りや義憤を、「要介護者自信によるこじれ」「介護家族によるこじれ」「市民・社会によるこじれ」「市場原理によるこじれ」「介護保険制度によるこじれ」「保険・福祉・医療によるこじれ」という6章に分け、1章は7〜13本の節で構成されている。1節はいずれも2〜5ページほどの長さで、多くは独立しているため、どの章、節からでも読み進めることができる。
本書で紹介されている多くの事例は、ケアマネジャーなら誰もが「そうそう」「わかる〜っ」という共感あり、「こういう考え方があったのか」という目からウロコの新発想あり、また「自分ならこう考える」「これはおかしいかも」という相対する意見など、さまざまな感想をもつことだろう。なにより、「こじれ」を徹底的にほぐして問題点を探し出し、解決策を提示してみせる方法は、ケアマネジメントそのもの。多くのケアマネジャーが抱える「こじれた」プラン解決のヒントが、そこにはあるかもしれない。
■書名:『介護の現場がこじれる理由〜フリーのケアマネが見た在宅介護の10年』
■著者:本間清文
■仕様:A5判・並製・240ページ
■発行:雲母書房
■定価:本体1,600円+税
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