市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニングは、アルツハイマー型認知症・軽度認知障害(MCI)の治療・診断の現状と今後の方向性に関する調査を実施し、このほど、その結果をまとめた。
この調査は、通常型のアルツハイマー型認知症について、神経内科、精神科、老齢病科で診療している医師120人、同じくアルツハイマー型認知症の家族のいる人、認知症のオピニオンリーダーへの調査も行い、アルツハイマー型認知症医療の現状を詳細に把握するとともに、今後の展望を取りまとめている。
■アルツハイマー型認知症患者数は2020年には167万人
過去においては脳血管性認知症が認知症の代表的な原因疾患であったが、診断精度の向上や、生活習慣病の予防や治療の発展によって患者数の上昇は緩やかになった。一方、アルツハイマー型認知症は、現時点で予防法や根本的な治療法がなく、高齢になるほど発症割合は上昇するため高齢化が進むにつれ患者数は増加した。
■より早期の患者が治療対象に加わった場合、2025年には220万人に
現在アルツハイマー型認知症に移行する軽度認知障害(MCI)について診断技術・治療薬の開発が進められており、今後10 年前後で結果が出てくる。MCI へのより早期の診断・治療法が確立した場合、2020 年以降はアルツハイマー型認知症患者数が大きく増加率することが予測され、2025 年には220 万人に達すると予測される。
■薬の市場規模は2020年には2,900億円まで拡大
2011 年以降は、新規に承認されたメマンチン、ガランタミン、リバスチグミン(2010年12月現在申請中)の処方が始まり、現在、副作用などで治療を中断されている患者への処方や併用療法が進み、市場規模は更に拡大すると予測される。 2015 年以降には、初のDisease Modifying Drug(以下 DMD)として抗体医薬が国内でも上市する可能性があり、既存の抗体医薬と近い価格で保険承認された場合、少数の患者であってもその売上高は大きく、アルツハイマー型認知症治療薬全体の市場は2,900 億円にまで達すると考えられる。
なお、同調査結果の詳細は、調査研究レポート『アルツハイマー型認知症・軽度認知障害(MCI)の治療・診断の現状と今後の方向性』(価格:378,000円:税込)として12月より販売している。