厚生労働省は12月24日、第70回社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など、多床室とユニット型個室を併設した「一部ユニット型施設」の類型を廃止する省令改正を求めた諮問書を提出、同分科会で了承された。
一部ユニット型施設にかかわる規定が省令から削除されたことにより、現在、一部ユニット型という類型で、1つの施設として運営されているものが、今後、多床室とユニット型個室の別施設として指定される。
人員配置基準については、施設長、医師、生活相談員、介護支援専門員、看護職員、栄養士、機能訓練指導員、調理員および事務員その他の従事者については、併設施設との兼務を認められるが、特別養護老人ホームについては、昼間はユニットごとに常時1名以上の介護職員または看護職員の配置が義務付けられている基準(省令)にもとづき、介護職員と同様にユニットケアを行う看護職員は例外規定に該当せず、兼務が認められないことが明記された。
同省は来年の1月中旬をめどに、改正した省令を所定の手続きに従って公布する予定。
続く分科会の議案では、12月20日に開催した社会保障審議会介護給付費分科会第5回調査実施委員会で公表した「介護従事者処遇状況等調査結果」「介護事業経営概況調査結果の概要(案)」が再掲示された。
同省は両調査の結果をもとに、3%アップした2009年の介護報酬改訂と介護職員処遇改善交付金について「それなりに成果があり処遇も改善された」と振り返ったが、木村隆次委員(日本介護支援専門員協会会長)は、「2009年と2010年を比較した平均給与額で介護支援専門員は11,000円アップとあるが、事業経営概況のサービス種別では居宅介護支援では5.3%と他サービスに比べても大きなマイナスとなっている。特定事業所加算を含め、より詳細な分析を」と事務局に求めた。
馬袋秀男委員(全国介護事業者協議会理事長)は、「介護支援専門員、看護職員、生活相談員、理学・作業療法士と、ここに提示された介護職はすべて平均給与額が前年対比でアップしているが、処遇改善交付金が交付された介護職員以外は国から金をもらっていないのだから事業者の経営努力によるものだ」と強調。バラつきのあるデータを平均値でとらえることに異論を唱えた。
居宅介護支援の介護事業経営概況調査概要の有効回答率は12%にとどまっていたが、他の事業も含め回答率の低さを取り上げた池田省三委員(龍谷大学教授)も、「こんなバラつきのある概況調査なんて意味はない。介護事業経営実態調査をやってさえいれば不要な調査で、いい加減な数値が独り歩きして危険だ」と糾弾。また、自身の視察経験から「ドイツ、フィンランドに並んで日本の介護職は世界的にも高給な方」と述べて「世の中、不況だらけの折、介護職だけがどこまで報酬が上がればいいのか。今後、分科会で話し合うべきだ」と主張した。
次回の介護事業経営実態調査は2011年4月に予定されているが、調査票を作成するにあたり、事務局側は「記入者の負担を軽減できるよう、2008年に約40ページあった調査票を約20ページに半減させる」ことを明らかにした。
次回の介護給付費分科会開催予定について、厚労省は「2012年に予定されている診療報酬と介護報酬の同時改定に向け、十分な議論ができるようスケジュールを調整して臨む」と述べ、大森分科会長は2月からの議論開始を視野に入れていると結んだ。
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