他国に比べて高コスト体質の日本の介護保険――セミナーリポート

シルバーサービス振興会は、12月15日、第227回月例研究会を都内で開催した。今回の講師は今年3月まで上智大学総合人間科学部社会福祉学科教授を務め、現在、日本政策金融公庫国民生活事業本部生活衛生融資部長の増田雅暢氏。旧厚生省出身で、厚生白書や介護保険法の策定にもかかわったことから、民間研究者の立場から「介護保険の現状と今後の方向性」をテーマに、2時間の講義を行った。

講義の前半は、日本の高齢者保険福祉政策の概要を、介護保険制度成立前夜から現在までを俯瞰し、日本における介護保険制度の成り立ちを改めて思い起こさせた。

介護保険施行当時と現在の実施状況を比較(2000年〜09年)すると、65歳以上被保険者数は9年で32%増、要支援・要介護認定者は115%増、要支援・要介護認定の申請件数は86%増となっており、人口増に比して認定者数の増加は倍以上になっており、それだけ介護保険が浸透したともいえる。

しかし同時に介護保険の総費用も増加しており、65歳以上の1号被保険者が支払う保険料の全国平均は2000年は2,911円だったが、2009年には4,160円にまで膨れ上がっている。

増田氏は、これ以外にもさまざまなデータや白書の統計から、要介護者・介護者の実態を読み取り、社会保障審議会で11月にまとめられた「介護保険制度見直しの基本的考え方」に盛り込まれた見直しの方向についても言及した。

今回、次年度国会に諮られる改正介護保険の見直しについてはケアプランに係る利用者負担の導入の検討だけでなく、
・要支援者、軽度の要介護者へのサービス
介護療養病床の廃止を一定の機会に限り猶予
介護報酬改定による処遇改善の取組の継続
・一定以上所得者の利用者負担の引き上げの検討
・家族の負担能力等を考慮した補足給付の支給の検討
・多床室における補足給付の見直し(低所得者は維持)

など、異例の両論表記(異なる意見や反対意見も併記)が複数採用されたが、すべての問題の根幹には介護費用が10年で2倍以上になるなどの介護保険財政の逼迫があり、給付と負担のバランスの見直しは必須となる。

この「介護保険財政問題」について、民主党の「介護保険制度改革ワーキングチーム」に参加している増田氏ならではの情報として、
・現政権においては、利用者負担増となる政策は選択されない
・財政安定化基金や介護給付費準備基金の取り崩しで対応
・第2号保険料の総報酬割の導入も有力な選択肢

と現時点での方向性を示唆した。

しかし増田氏自身は、この案では「当座はしのぐことができても、すぐに問題が表面化する」と懸念しており、護保険の構造的な問題(高コスト体質、狭い被保険者範囲、医療的側面と福祉的側面が混在、など)の解決なくしては真の安定はありえない」とした。

その後、増田氏は介護保険策定時に日本が参考にしたドイツの介護保険、日本の介護保険を参考にして2008年より施行している韓国の介護保険を比較し、日本の介護保険が恵まれすぎている現状を示した。

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