腎不全、血友病、輸液、麻酔、疼痛管理の領域に特化したグローバルヘルスケア企業、バクスター株式会社は、腹膜透析患者が在宅で円滑に腹膜透析療法を継続することができるよう、セコム医療システム株式会社および医療法人社団鳳優会と協力し、在宅療法を支援していくことを11月上旬、発表した。
腹膜透析療法は、自宅や職場など社会生活の中で治療を行うことができる腎不全の治療法。1983年に日本での使用が認められて以来、在宅で治療を続けながら社会復帰が実現できる透析療法として定着し、患者のQOL向上に寄与している。
同社が腹膜透析患者を対象に実施したアンケートによると、「拘束時間が少ない」ことや「自宅で透析療法を行え、通院が少ない」ことなどが腹膜透析のメリットとしてあげられている。一方、腹膜透析導入時には「自宅で自分ひとりで行えるだろうか」「操作をきちんとできるだろうか」といった在宅で透析療法を行うことへの不安を抱えていることも明らかになっている。
そこで同社は、患者が在宅で円滑に腹膜透析療法を開始し、継続することができるよう、セコム医療システム株式会社の協力のもと、在宅療養支援診療所として専門性の高い医療法人社団鳳優会が開設する荏原ホームケアクリニック(東京都品川区)と在宅療法を支援していく。同社は鳳優会に対して腹膜透析療法にかかわるノウハウを提供し、鳳優会は腹膜透析患者向けの訪問看護サービスを試験的に開始し、患者さんの教育や治療の管理体制を充実させるという。
■腹膜透析とは
腹膜透析とは、腹膜に囲まれた腹腔に透析液を出し入れして、血液中の老廃物や水分を取り除き、血液をきれいにする透析療法。自宅や職場などで患者本人や介護者が操作を行い、一般的に通院は月1〜2回程度。就寝中に器械により自動的に行う方法(APD)と日中に4〜12時間ごとに行う(1回の治療は30分程度)方法(CAPD)がある。医療機関において実施されたある調査では、透析療法について十分に適切な情報が提供された場合、約60%の患者が腹膜透析を選択したことが明らかになっている。
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