新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、国は必要のない外出を控えるよう求めている。集団感染が確認されたことで、一定期間、デイサービスの営業を取りやめるよう求めた自治体もあった。外出を控えたり、デイサービスの利用を取りやめたりせざるを得ない高齢者は、今後さらに増えることが予想されるが、懸念されるのは、生活不活発による身体機能の低下や要介護度の悪化だ。こうした状況を受け、介護事業者の中には、自宅でも機能訓練に取り組めるよう、自社で培った機能訓練のメニューやノウハウをアプリなどで無料公開する事業者も出始めた。
■相談機能付きの有料アプリを公開―インターネットインフィニティー
運動に特化したリハビリ型デイサービス「レコードブック」を100カ所以上展開するインターネットインフィニティー(東京・品川区)は、独自の運動プログラムで構成するアプリのうち、有料で提供してきたプレミアム会員向けの機能を無料公開した。
普段の運動頻度や身体の気になるところに合わせ、最適なプログラムを提案するアプリで、同事業所のトレーナーへの運動相談も可能だ。
■特設サイトで2500種類のマニュアル公開―リハブフォージャパン
デイサービス向けクラウド機能訓練ソフト「リハプラン」を運営するRehab for JAPAN(リハブフォージャパン、東京・品川区)は、特設サイト「自宅でできる介護リハビリ」で、普段はリハプラン契約事業所のみに提供している約2500種類の「運動マニュアル」の無料公開を開始した。デイサービスに通えない高齢者に加え、デイサービスやデイケア、居宅介護支援事業所などの従事者の利用も想定している。公開期間は4月30日までの予定だが、「状況次第では、さらに延長することもある」(大久保亮社長)という。
■ユーチューブで独自プログラムを公開―ヒューマンライフケア
デイサービスや小規模多機能型居宅介護などを約100カ所展開するヒューマンライフケア(東京・新宿区)は、「ヒューマン体操」の無料動画の公開を開始した。
「ヒューマン体操」は、認知症予防を目的としたもので、普段は同社のデイサービスなどで実施されている。無料動画はそのエッセンスを紹介したもの。11種類の運動で構成されており、全身の筋肉のストレッチや足腰の筋力を鍛えるトレーニングなどに取り組める。動画投稿サイト「ユーチューブ」で閲覧が可能だ。さらにデイサービスなどで活用している認知症予防のためのオリジナル教材を、同社の各事業所の近隣の居宅介護支援事業所や地域包括支援センターなどに無料で配布する取り組みも開始した。配布する教材は約1万部を予定している。