昨年10月に導入された福祉用具貸与の上限価格の設定などがケアプランの作成にも影響していることが、厚生労働省の調査で分かった。調査によると、ケアマネジャーの10人に1人は福祉用具貸与の制度変更に伴い、ケアプランの見直しを行ったという。また、上限価格の設定によって福祉用具貸与の総額は4.5億円減り、7割超の事業所の経営に影響が出たとする結果も示された。
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調査は、すべての福祉用具貸与事業所を対象に実施。2988事業所から有効回答を得た。また制度改正前と制度改正後の福祉用具貸与の請求データの比較・分析も行われた。
■「利用者が移った」との声も
事業所に、制度改正に対するケアマネの反応を複数回答で尋ねた質問では、「価格についての問い合わせが増えた」が50.0%で最も多かった。次いで多かったのは「商品についての問い合わせが増えた」(16.6%)だった。
さらに「ケアプランの見直しが実施された」(11.0%)や「他の事業所の利用者が自分の事業所に移ってきた」(8.8%)、「利用者が他の福祉用具貸与事業所に移った」(7.5%)など、制度改正がサービスや商品の提供に大きな影響をもたらしたとする意見もあった。
■総額は4.5億円の削減
また、上限価格の導入などの影響で、福祉用具貸与の総額が約4.5億円の削減となったことが請求データに基づく分析で分かった。削減率は2.0%だった。
福祉用具貸与の上限価格については、今後も年に1回程度、見直される見通しだ。今回の調査では、将来の上限価格の見直しが福祉用具貸与の総額にどのような影響を与えるかのシミュレーションの結果も示された。それによると、次回の見直しに伴う総額の削減率は0.7%、次々回の削減率は0.3%となり、制度改正を重ねるごとに総額に与える影響は小さくなる見通しが示された。
なお、次の上限価格の変更の時期について厚労省の担当者は、「未定」としている。
■7割超の事業所が「収益減」
上限価格の設定が経営に与えた影響を尋ねた質問では、「収益が減少した(減少する見込み)」と答えた事業所が74.2%に達した。次いで多かったのは「影響はなかった」(21.3%)。「収益が増加した」と答えた事業所は2.9%だった。