杖や手すりといった福祉用具は、高齢者の日々の生活を直接支える大切なツールです。その専門家は、安全・安心を維持するため日々、知恵を絞り、工夫を凝らし続けています。このシリーズでは、同じ介護業界で働くプロ(ケアマネジャー)が、福祉用具の専門家の、ちょっとすごい取り組みや工夫を取材・紹介します!
- 取材した介護のプロ(ケアマネジャー)
- 成田知子さん(居宅介護支援事務所のえる)
- スゴ技を発揮した専門家(福祉用具専門相談員)
- 福島修平さん(ダスキン ヘルスレント足立ステーション 副店長)
専門家同士の連携プレーで行き届いたサポートをお届け
ご家族からの質問の嵐にひるまず対応
福島:私は埼玉県春日部市で育ったのですが、成人後はずっと足立区に住み、働いてきたので、だいぶこの地域での経験も長くなりました。ご高齢の方も多いのですが、下町人情が今も生きていて、仕事の上でも濃厚な人間関係の中に入り込んでいくようなスタンスが求められている気がします。
成田:人と人の距離感が近くて、ポジティブにいえばコミュニケーションが取りやすい、ご自宅への訪問もしやすいという側面がありますね。そういう意味でも、福島さんと一緒に対応した方に関する印象深いエピソードがありまして……。
福島:腰椎圧迫骨折を機に自立した生活が難しくなり、息子さんと同居することになった方のケースでしたね。ご本人は80代後半の女性、その息子さんは50代で、当初は遠く離れて暮らしていました。
成田:やはり息子さんとしても突然の出来事で、介助や介護保険に関する知識も身に付けている余裕がなかったのでしょう。分からないことがあるたびに、とにかくメールや電話で次々と質問が飛んでくる……という感じでしたね。
福島:おそらく身近に相談できる方がおらず、私たちに助けてほしいというSOSだったのだろうと思いますが、最初はあまりの連絡の多さに正直ちょっとびっくりしてしまいました。一方で、ご自分なりのこだわりが強く、例えばベッドを入れるにしても「これじゃない、あれじゃない」となかなか納得していただけない。
成田:それでも福島さんは音を上げず、さまざまな製品の安全性やコストパフォーマンスなどを根気よく説明して、最終的にはうまくご納得いただけましたね。もちろん、用具の導入時だけでなく導入後も献身的にフォローしてくださったので、ケアマネジャーとしても心強かったです。
福島:息子さんの質問の嵐は、私だけでなく成田さんにも向かっていました。「ケアマネジャーさんには何でも頼っていい」という意識があったのかもしれませんが、成田さんも大変だったと思います。
成田:私と福島さんがそれぞれの専門性を生かしつつ、息子さんが落ち着かれるまでチームプレーで対応できたという事例でしたね。確か、質問の嵐が落ち着くまでに4か月くらいかかったと思います。
ケアマネジャーとの良好な連携がサポートの基盤に
福島:チームプレーということでいえば、成田さんが連携しやすい空気感を出し、円滑な関係性をつくってくださっていることが大きいと思っています。私がこの仕事を始めたころは、ケアマネジャーさんに対して怖い印象を持っている部分が少なからずあったので、「こんなにフレンドリーに仕事をご一緒できる方もいるんだ」と驚いたと同時に、とてもうれしかったことを思い出しました。
成田:ケアマネジャーは職務上、福祉用具事業者さんに仕事を振るというかたちになりますが、だからといって立場が上というわけではありません。福祉用具事業者さんを含む関係者の皆さんがいてくださるからこそ、ケアマネジャーが作るケアプランが成り立つ側面もあるわけで、皆がフラットというのがあるべき関係性だと思っています。
福島:ありがとうございます。そう言ってくださると、私たちもよりいっそう自分の仕事に誇りを持てます。
成田:それに、介護を受ける方にとってみれば、私たちケアマネジャーより、現場に入る回数が多く密度が濃い各事業者さんの方が身近な存在ですし、頼りにされやすい。その中で、福島さんのように福祉用具専門相談員としての力量がありつつ、持ち前の柔らかい人柄と献身性で高齢者やそのご家族の懐に入り込み、ケアマネジャーと情報共有・連携してくださるのであれば、むしろこちらがありがたい、助けられているという感覚なんです。
福島:こうした良好な関係性の中で仕事ができることで、もちろん私自身もやりがいを感じますし、お客様により行き届いたサポートができるようにもなるのだと思います。本当に、いつもありがとうございます。
足しげく訪問する中で関係性を構築
成田:福島さんとのチームプレーとして印象深い事例は、ほかにもあります。かつて企業の上層部でお仕事をされていて、あれもこれもと要求が激しい上に、自分の意見を強く主張される方でした。その方が在宅で過ごす上で、どのように環境整備や健康管理の援助をするかが課題でした。
福島:同居するご次男の奥様がキーパーソンと目されましたが、いろいろと主張の強い方なので、奥様は鬱憤を募らせてしまい、当初は関係性も良いとはいえなかったですね。ご次男や、近所に住むご長男も同様でした。
成田:ベッドや歩行器を手配したのですが、そのほかにも次々と物品が欲しくなり、思いつきのようにネットショッピングで購入してしまう。自室は倉庫のように物があふれ、ベッドを置くスペースもない。思い切って片付ける必要があるのに、ご家族は本人に気兼ねして、なかなか手を出すことができない……という状況でした。
福島:やはり企業人として成功された方ですから、ご家族に対してもご自分の意見を曲げないところがあったのでしょうか。成田さんと一緒にご自宅へ伺い、ベッドなどを置くスペースをつくるところから始めましたね。
成田:関わり方が難しい方でしたが、私たちの言うことは尊重してくれる面もありました。特に福島さんは、何度もご自宅にお伺いしているうちに、その落ち着いた雰囲気ある人柄が影響したのか、「社長、社長」と呼ばれるほど信頼されるようになりました。そのおかげでケアマネジャーとしての訪問も円滑に行え、非常に助かりました。
福島:いつの間にか「社長」に就任していたという……。前職でデイサービスの管理者をしていた経験も生かせたのではないかと思っています。
成田:ご本人だけでなく、ご次男の奥様とも時間をかけてコミュニケーションを図り、ご家庭全体を良い方向へ導いてくださったと思います。
用具の保管や消毒が自店舗内の施設で完結
成田:ということで、ここまで福島さんとのチームプレーについて振り返ってきましたが、私が思う「ダスキンヘルスレントさんのお勧めポイント」についても言わせてください。
福島:うれしいです。ありがとうございます。
成田:1点目は、自社ブランドの製品を持っていることと、そうでありながら他社製品を含めて幅広い用具をニーズに合わせて提案してくれることです。相手がどうあれ自社製品を前面に押し出してくる業者さんもある中で、ダスキンヘルスレントさんは何よりもまず相手に寄り添った姿勢であることが信頼できます。
福島:幅広いご提案ができるよう、自社製品はもちろん、他社製品を含めて良いところ、悪いところを勉強するようにしています。
成田:2点目は、足立ステーションは店舗内に立派な倉庫や消毒施設を備えているため、清掃・消毒や点検・交換の対応が迅速なことです。介護を受ける方のニーズとして、用具に関してはスピード勝負なところもあるので、大変助かるポイントです。
福島:スペースなどの都合から、自店舗内に倉庫や消毒施設を設置できないケースも珍しくありません。その点は、足立ステーションの特長の一つとして捉えていただいても良いかと思います。
成田:そうですよね。といいつつも、私がケアマネジャーとして何を重視して福祉用具事業者さんを選ぶかといえば、最終的には「人」です。福祉用具専門相談員さんがどういう人柄で、どういう動き方をしてくれるか、そしてそれらが真に介護が必要な方のためになるか、ですね。そういう意味で、福島さんは本当に得難いパートナーだと思っています。
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喜田家 - 足立区千住寿町で1955年(昭和30年)に創業した和菓子屋。上質な国産原料と職人技で作り上げるどら焼きが特に有名で、手土産としても喜ばれること請け合い。
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西新井大師 - 「関東三大師」の一つに数えられる總持寺の通称。真言宗の開祖である空海(弘法大師)に由来する。初詣の名所であるだけでなく、毎月21日は「お大師様」の縁日でにぎわう。
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