杖や介護用ベッドなどの福祉用具は、高齢者の体の一部ともいえる大切なツールです。そんなツールを扱うダスキンヘルスレントの各ステーションは、高齢者の生活を支えるプロが集う場所。いわば「ささえびと」たちの仕事場です。このシリーズでは、「ささえびと」たちにとって忘れられないご利用者とのエピソードを紹介していきます。
ありがとうを超える感謝の言葉
在宅で奥様を看取ったご主人から、「本当にいい仕事に就かれていますね」と、声を掛けていただいたことがありました。
お付き合いさせて頂いたのは、奥様が亡くなるまでの1カ月ほど前から。奥様はがんを患われていました。「何とか治そうとがんばってきたけど、もう、どうにもならない」「今日中にも、介護ベッドを入れてほしい」-。ご主人から、そんなふうに問い合わせを頂いたことを覚えています。
がん末期の患者さんの容態は日に日に変化していきます。最初に依頼があった介護ベッドは、注文があったその日のうちに納入しましたが、その後も福祉用具の調整や新たな商品の提供のため、何度となく訪問しました。時には深夜や早朝にお伺いし、対応することもありました。
厳しい状況でした。でも厳しい状況だからこそ「迅速な対応」と「細やかなアフターフォロー」は、常に心掛けました。もう一つ、いつもと同じように徹底したのは「単なる道具の配送業者にならないようにしよう」ということ。単にご利用者やご家族の要望や希望を承るだけでなく、福祉用具のプロとしての工夫を加え、よりよい形のサービス提供を心掛けたということです。
ご主人と最後にお会いしたのは、奥様の看取りを終え、介護ベッドなどを引き取りに行った時です。その時、冒頭の言葉を頂戴しました。うれしかったですね。自分たちがやってきたことは間違いではなかったと、実感することができましたから。私にとっては、どんな「ありがとう」にも勝る、感謝の言葉でした。
- 話し手
- ダスキンヘルスレント・横浜西ステーション
店長・葛西司さん