今の介護保険法ができるだいぶ前、20年近く前の話です。
私は当時小学生でしたが、実家では介護が必要な祖父母と同居していました。
当時は特に、介護は家族だけでやるものという印象が強かった気がします。それはうちの家庭や親族に限ったことなのか、どこもそうだったのかは今となってはわかりませんが。
母は自宅で2人の介護を行い非常に大変そうだったことは記憶に強く残っています。
祖父は脳血管性の認知症、祖母はアルツハイマーでした。
祖父は記憶がつながらないだけでその都度都度の判断は正常にできる状態でしたのでイライラしていることが多い印象でした。
私も、数分おきに同じことを何度も聞かれイラついてしまい、加齢臭と相まってあまり祖父に近づきたくない気持ちが強かったです。
介護に関しては後悔ばかりです。
認知症は病気で、祖父母が悪いわけではない、祖父母がダメなわけではないと今なら思えますが当時はそんなことを考えていませんでした。
祖父の社会人としての生き様は私は直接知ることはなかったのですがきちんとした仕事をして人も大事にしていたらしく、引退後も様々なところからお中元、お歳暮、様々な報告がきていました。
今になって思えば、もっと仕事の話しを聞いておきたかったとか戦争のことも聞いておかなければいけなかったとか、自分の病気に対してイライラしているにも関わらず優しく語りかけてくれる祖父になぜ蔑ろに接してしまったのかとか未だに胸に重くのしかかる思いがあります。
私は祖父母の隣の部屋で寝起きしており、祖父母がトイレに起きると転んだりしないようについて回ったりしていました。
また、まだ認知症が軽度なときにはリハビリのためということで散歩に一緒に行ったりしていました。
そのことを親から感謝されるたび、大したことはしていないという想いがもっともっと強くなってきます。
こういってはなんですが、言われたからやっていただけ、やると決まっていたからやっていただけで祖父母のことを思っての行動ではなかったと感じるからです。
今介護をされている方やこれから介護をするだろう方々には同じような思いを抱くことがないように願ってやみません。
やってしまったこと、やらなかったことはどんなに後悔しても償いようがありません。
今介護を必要としている方々が今まで自分に何をしてくれたか、そのときに差しのべられた手、向けられた表情、交わした会話をしっかりと胸にしまっておきたいと思います。
これから親も介護が必要になる時が遠からず来ると思いますので、この気持ちを忘れることなく覚悟を決めたいと思います。
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