かかりつけ医を持とう

現在、ご本人には、かかりつけの病院がありますか? あるいは複数の病医院にかかっている場合もあると思います。
介護保険サービスを利用する場合、その資格を得るための「認定調査」時には「主治医意見書」が必要となります。ここには、日ごろ、ご本人が定期的に受診している病医院の医師に記入してもらうことになり、介護認定に大きな影響を及ぼします。納得のいく介護認定のためにも、かかりつけ医を持っておくことは重要です。

主治医の意見書

■かかりつけ医は大病院の有名医師?

かかりつけ医とは、ご本人の既往歴や現在の疾患、生活習慣なども把握したうえで、健康管理のアドバイスまでしてくれる身近な主治医のことを言います。ちょっとした風邪や食中毒などにもすぐに対応してくれ、緊急時には往診もしてくれる体制をとっているところが望ましいといわれています。多くは、入院設備を持たないクリニック(医院)で、検査などが必要になれば、入院設備を持つ一般病院や高度な治療を行う大病院を紹介してくれます。

「私は有名な大学病院のエラい先生に診てもらっているから大丈夫」。そんな方もいらっしゃると思います。しかし、有名な大病院に1時間かけて通い、2時間待ちの3分診療で、極端なところでは交代制で毎回違う医師が担当し、ロクに顔も覚えてもらえない……。それではかかりつけ医とは言えません。
難しい病気になって大がかりな検査が必要だったり、手術が必要な場合は、紹介状を必要とするような大病院のほうが安心かもしれませんが、介護が必要となったご本人の生活にまで目配りしてくれるのは、やはり地域で長年開業していたり、評判のよいクリニック(医院)です。

欧米では、総合診療を行うホームドクター(ファミリードクター)制が一般的で、これが「かかりつけ医」と同義となります。ホームドクターはあらゆる診療科に通じる総合診療の訓練を受けており、救急でない限りは、どんな症状・部位であってもまずはホームドクターに相談し、それから入院などの手配をしてもらいます。どんな治療を受けられるかは、どんなホームドクターを選ぶかにかかっているといわれるほど重要なポジションにあります。

■何科の医師がふさわしいか

高齢者に頻度の高い疾患としては、高血圧(内科)、肺炎(内科)、関節疾患(整形外科)、白内障(眼科)、骨粗しょう症(内科・整形外科)などがあげられます。どの診療科の医師であっても、お世話になっている身近な病院の医師は基本的には「かかりつけ医」ですが、介護保険の認定を受ける場合は、認定理由となる主疾患の治療をする医師に「医師の意見書」を書いてもらいます。
複数の診療科を受診している場合は、できれば内科医をかかりつけ医とするとよいでしょう。

また、高血圧をはじめ、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病は、長期にわたる投薬治療や食事管理などが必要なため、身近になんでも相談できる医師がいると、なにかと安心です。

生活習慣病の多くは、内科で対応可能ですが、まれに、これまで病気らしい病気をしてこなかった、あるいは病院嫌いで市販薬などで対処してきた、という方もいらっしゃると思います。
このような人は、それまで健康に恵まれてきたことを感謝し、それでもいつかは病院の世話になることを自覚してもらいましょう。中には、病院に行くだけで気分が悪くなる(白衣恐怖症や消毒薬のにおいなどに拒否反応がある)人もいます。病気になると、つらい検査が必要な場合もあるため、そうした場合に備えて、ある程度「病院慣れ」しておくほうが、後々安心です。

■「よいかかりつけ医」を選ぶチェックシート

  • ご本人が一人でも通える距離にある近隣で開業しており、ご近所の評判がよい。
    インターネット環境があるなら、病院評判サイトなどで口コミの評判を見ることもできます。
  • 検査や治療法、薬などについて、専門用語を使わず、誰にでもわかる言葉で説明してくれる。
    インフォームドコンセントはもちろんですが、高齢者が理解できない場合は、紙に書いて説明してくれたり、「ご家族もいっしょに」という労を惜しまない。
  • 病歴、家族歴などを詳しく聞いてくれる。
    現在別の病院から処方された薬を飲んでいる場合は必ず申告しなければなりませんが、それ以外にも既往症や家族の病歴などの情報があれば、治療方針の一助となります。
  • 話をよく聞いてくれて、質問にもちゃんと答えてくれる。
    一方的に説明をして終わりではなく、患者が自分の症状をうまく伝えられない場合に、いろいろな選択肢を提示してくれたり、簡単な質問にも真摯に答えてくれる。
  • 検査や専門外の疾患が疑われる場合、適切な専門医を速やかに相談してくれる。
    患者を自分のクリニックに囲い込まず、多くの連携病院をもち、必要があればすぐに紹介状を書いてくれる病院かどうか。がんなどの場合は、特に早期発見が重要となります。
  • 話し方や人柄などに好感が持て、自分との相性がよい。
    患者と医師であっても人間同士。有名な医師であっても「この人はどうも好かない」という相手はいるものです。もちろん長年つきあってみて相手の良さがわかることもあるので、1度で決めるのは早計です。
  • 診察もせず薬だけを処方するようなことはしない。
    中には診察の時間が惜しいからと、患者の側から「薬だけ」を要求する人もみられますが、本来は違法です。長年同じ薬を服用していても、診察することで小さな変化に気づくのが医師です。
  • 緊急の場合、電話対応や往診をしてくれたり、通えなくなっても往診してくれる。
    高齢の患者が多いクリニックでは、居宅療養管理指導(介護保険制度の元、定期的に自宅を往診して健康管理などのアドバイスを行うこと)の申請をしているところが多く、万一寝たきりなどで通えなくなっても安心です。
  • ジェネリック医薬品や最新治療法などについて常に勉強している。
    これは学会に出席していたり、同じ効能の薬を複数提示して違いを説明してくれることなどから確認できます。

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