人材の確保の一環として、今年4月に導入された介護の入門的研修(入門研修)。未経験の中高年層らを現場に呼び込み、人材の“すそ野”を広げることを目的としているが、その研修の実施自体が滞っていることが厚生労働省の調査で分かった。調査によると、来年3月までに研修を実施するのは、全都道府県の3分の1程度にとどまっているという。
入門研修は、3時間の「基礎講座」と18時間の「入門講座」で構成されている。受講のための要件はなく、誰でも受講が可能だが、厚労省では主な対象として定年退職が間近な中高年層や、子育てが一段落した女性らを想定している。なお、入門的研修を修了した人が介護職員初任者研修や生活援助従事者研修を受講する場合、カリキュラムの一部の免除が受けられる。
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■「予定なし」が「実施予定」+「実施中」を上回る
入門研修は都道府県が主催することになっているが、厚労省の調査によると、今年度中に研修を実施することを決めていたり、既に実施していたりする自治体は16都府県にとどまっている。来年度から実施する方針の都道府県を含めても20都府県で、全都道府県の半分に達しない。
一方、入門研修について「実施予定なし」(※注)と答えた自治体は22道府県となり、実施中や実施する予定がある自治体の合計を上回った。
入門研修の実施が遅れている状況について、厚労省は「この制度は今年度からで始まったばかり。今後も引き続き普及に努める」としている。
注:類似の独自研修がある自治体や、時期は決まっていないものの入門研修の実施を検討している自治体は除いている。