介護離職が与える日本経済への損失は、6500億円に達するという試算を経済産業省がまとめた。居宅介護支援などへの年間の保険給付の総額と比較しても1600億円余り上回っており、介護離職が経済へ与える影響の大きさが数字で裏付けられた。
経産省が試算を示したのは先月末に開かれた「第1回 産業構造審議会 2050経済社会構造部会」。
同省では、近年の介護離職者は年間10万人前後で推移している点に注目=グラフ=。介護離職が日本経済に与える損失について「年間の離職者は10万人」「離職者の約8割は女性」などの条件に平均賃金などを加味して試算した。
その結果、離職した人が働き続けていた場合に得られたはずの所得(所得損失)は2700億円となった。その所得損失に企業などでの活動で生じる付加価値を加えると、介護離職による経済的な損失は年間6500億円に達すると見込まれた。
2016年度の介護保険事業状況報告によれば、「介護予防支援・居宅介護支援」の保険給付の年間の総額は約4900億円。グループホームの年間の保険給付の総額でも約5600億円だ。介護離職がもたらす経済損失は、全国の居宅介護支援事業所やグループホームに支払われる保険給付の合計より、はるかに大きいことになる。