加齢に伴って筋力や認知機能などが低下し、要介護手前の状態となるフレイル(虚弱)の対策を検討するため、厚生労働省は6日、有識者会議の初会合を開いた。介護予防のために市町村が整備する「通いの場」を活用し、低栄養の防止などにつなげることを目指す。同省では今後、先進的な取り組みを進める自治体などにヒアリングを行った後、11月中に具体策を取りまとめる方針。
フレイル対策について意見を交わした有識者会議
現行の制度では、生活習慣病やフレイルの対策は医療保険、認知症などの介護予防は介護保険と、保険制度で別々に対策が講じられている。また、介護保険の保険者は市町村のみだが、医療保険の保険者は雇用形態などによって異なる上、75歳を迎えると、都道府県ごとの「広域連合」に一本化される。年齢によって実施主体がばらばらのため、一体的な対策を打ちにくい現状がある。
今後の最大の焦点は、介護保険の総合事業で市町村が整備を進める「通いの場」の機能の拡大だ。同省によると、「通いの場」は2016年度時点で全国に7万6492カ所あり、主に運動を目的としている場所が半数近くを占める。ただ、参加者の数は低迷しており、同年度の65歳以上の参加率は4.2%にとどまっている。
6日の有識者会議では、「通いの場」の参加者のデータベースの作成のほか、参加しなくなった人に対する専門職のアウトリーチ(訪問支援)、参加しない「無関心層」の掘り起こしなどの課題が指摘された。
この日の会合では、自治体などが保有する医療・介護のデータベースを活用するよう求める声も上がった。国民健康保険の加入者については、現行の制度でも、特定健康診査(メタボ健診)の結果と医療・介護のレセプト情報を一体的に分析することが可能だが、医療保険の被用者保険のデータとの関連付けはできない。こうした課題をどのように考えるかも、今後のポイントになるだろう。