医療や介護などの公的なサービスに充てられる社会保障給付費が、2016年度に過去最高を更新したことが、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の調査で分かった、1人当たりの社会保障費も92万1000円で、過去最高となった。急速な高齢化が背景にあるとみられる。
社人研の調査によると、16年度の社会保障給付費は、116兆9027億円で、前年度と比較して1兆5020億円増えた。GDP(国内総生産)に占める割合では、21.68%となり、前年度比では0.06ポイント増えた。
■介護は9.6兆円、前年度からの伸び率は過去最低
社会保障給付費の内訳は、「年金」が54兆3770億円(46.5%)で半分近くを占めた。次いで多いのは「医療」(38兆3965億円、32.8%)、「福祉その他」(24兆1291億円、20.6%)。「福祉その他」に含まれる「介護対策」は9兆6045億円となり、社会保障給付費に占める割合は8.2%だった。
「介護対策」の前年度からの伸びは2.1%で、01年度以来、最低の伸び率となった。ただし、「医療」(0.6%)や「年金」(0.5%)と比べれば、高い伸び率を保っている。
■「社会支出」のGDP比、実は英仏独より低い日本
また、社会保障給付費に施設の整備費なども加えた16年度の「社会支出」は、119兆6384億円で、対GDP比は22.19%。前年度(22.15%)から0.04ポイント増えた。
「社会支出」がGDPに占める割合を外国と比較すると、アメリカ(19.12%)よりは高いものの、イギリス(22.65%)やドイツ(27.13%)、フランス(32.12%)よりは低くなっている。
※諸外国の「社会支出」の対GDP比は、15年度段階の数字