厚生労働省は、保険薬局の薬剤師が対面で患者に服薬指導などを行っていれば、調剤した薬を営業時間外に自動保管庫で受け渡しても、医薬品医療機器等法(薬機法)に抵触しないとする見解を明らかにした。多忙な会社員らからは、薬が調剤されるまでの待ち時間の効率化を求める声もあり、今後、新たなビジネスの創出につながることが期待される。
事業者が新規事業計画を立てる際、現行の規制の範囲内かどうか確認できる「グレーゾーン解消制度」の一環で、企業からの問い合わせに厚労省が回答した。
薬機法は、「薬局の管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局に勤務する薬剤師その他の従業者を監督し、その薬局の構造設備及び医薬品その他の物品を管理し、その他その薬局の業務につき、必要な注意をしなければならない」(第8条)と定めており、営業時間外に自動保管庫で薬を引き渡す行為が、この規定に反するかが問われた。
同省は、薬剤師が他の薬の使用状況などを確認した上で、患者の処方せんの内容を調べ、対面で服薬指導などを実施した後、問題ないと判断した場合は、営業時間外に自動保管庫で薬を受け取っても、薬機法に抵触しないとした。
グレーゾーン解消制度を所管する経済産業省によると、患者に薬を自動で受け渡す機械は米国で普及しており、「ピックアップターミナル」と呼ばれているという。