厚生労働省は21日、65歳以上の人が支払う介護保険料の全国平均などについて発表した。第7期(2018年度から20年度)の介護保険料の全国平均は5869円で、第6期(15年度から17年度)と比べると355円増えた。2911円だった制度の開始時に比べると倍以上になっている。また、保険料が最も低い自治体と最も高い自治体の“格差”は3倍以上に達した。
介護保険料の全国平均は、高齢化の進行に合わせて増加し続けており、15年度から17年度には5514円と5000円を突破。18年度から20年度には制度開始時の倍以上となった。厚労省では、25年度に6800~7200円、40年度には8600~9200円に達すると見込んでいる。
■8割近くの自治体が前期より引き上げ
介護保険の保険者となっている市区町村などのうち、第6期から第7期にかけて保険料を引き上げたのは1224カ所で、全体の78.0%となった。一方、引き下げたのは90カ所(5.7%)にとどまった。据え置いた自治体は256カ所(16.3%)だった。
また、保険料が最も低かったのは北海道音威子府村の3000円だった。保険料が4000円以下だった自治体は9カ所あったが、そのうち4カ所は北海道の町村だった。一方、最も高かったのは福島県葛尾村の9800円で、音威子府村の3倍以上となった。介護保険料が8000円以上となった自治体は11カ所あったが、そのうち7カ所を福島県内の町村が占めた。
■25年の介護人材、「約34万人不足」
また厚労省は、都道府県のデータを元に、今後の介護人材の必要数を推計・発表した。それによると、必要な介護人材は16年度末の段階では約190万人だったが、20年度末には約216万人まで増加。大きな人口を抱える団塊の世代が後期高齢者となる25年度末には約245万人の介護人材が必要としている。
さらに厚労省は、近年の入職や離職の動向を元に、今後の人材の供給数も推計した。その結果、20年度末には約203万人、25年度末には約211万人の人材が供給できる見込みが示された。
需要の見込みより供給の見込みが少なければ、その分だけ介護人材は不足する。つまり、20年度末では約13万人、25年度末には約34万人の不足が見込まれることになる。
こうした状況に対し、厚労省では、▽19年10月に予定される消費税率引き上げに伴い、さらに介護職員の処遇改善を実施する▽中高年齢層など介護未経験者を対象とした入門的研修を創設▽介護ロボットなどの活用の加速▽介護を知るための体験型イベントの開催―などの人材確保策を進める方針だ。