今年4月の診療報酬改定に伴い、一部で導入された情報通信機器(ICT)を活用したオンライン診療について、政府の規制改革推進会議のワーキンググループは、2年後の改定に向けた意見書をまとめた。意見書では、高齢者の見守りの視点も考慮した仕組みを構築することなどを求めている。
現行のオンライン診療は、あくまで対面診療が原則となっており、初診から半年間は月1回、同じ医師が直接診療を行うことなど、利用できる条件が厳しく設定されている。
意見書では、今回のオンライン診療の導入を「重要な第一歩」と評価する一方、対象範囲が限定的だとして、「技術的に可能になった環境を国民が最大限に享受するためには、医療に関連する制度・規制を、技術の進歩に応じて、国民・利用者の目線で柔軟に、かつ不断に見直す必要がある」と主張した。
その上で、オンライン診療の促進は、「病気の予防や重篤化の防止につながり、ひいては医療費全体の削減に資する可能性がある」として、予防医療に特化した包括的な診療報酬の枠組みの検討を要望。さらに、「オンライン診療は継続的なモニタリングを可能にする点が特性のひとつ」とも指摘し、高齢者の見守りの視点も考慮した仕組みの構築を求めた。
■初診時の評価や対面診療の要件緩和も要望
対面診療が原則となっている現行の仕組みについては、「『対面診療ができなかったことを可能にした』と評価される場合は、それに応じた診療報酬上の扱いを検討すべきだ」とし、オンライン診療で患者のデータを集める際のルールづくりの必要性を示した。その上で、テクノロジーが著しく進歩していることから、科学的な根拠が得られた場合は、2年に1度の改定を待たずに、制度を見直すことが望ましいとした。
さらに、現行では対象外となっている初診時の利用を認めるよう求めたほか、初診から半年間の対面診療の要件については、移動が困難な患者らに配慮し、患者から合意を得た上で、対面診療とオンライン診療を組み合わせた療養計画書が事前に作成されていれば、規制を緩和すべきだとしている。