経済同友会は14日、長期的に財政を健全化させるには、消費税率10%を導入した後も、引き続き税率引き上げを検討すべきとする提言を財務省の財政制度等審議会の分科会に示した。具体的には近い将来、17%から22%の消費税率の導入が必要としている。
提言では、国債の発行に頼らずに必要な支出をまかなえる状態である「プライマリーバランス黒字」(PB黒字)を実現するためには、「消費税率10%への引き上げの確実な実行と、その後の税率引き上げを速やかに検討」「社会保障制度の抜本的改革」「財政状況をチェックする第三者機関の設置」などが必要とした。
このうち、消費税率の引き上げについては、国内総生産(GDP)の成長が1%前後とする「ベースシナリオ」と、GDPの成長が0.5%以下にとどまる「リスクシナリオ」の、二つの試算を実施。それぞれのシナリオにおいて2045年段階でのPB黒字を実現するには、どこまで消費税率を引き上げるべきかを算出した。なお、いずれも10%に消費税率が引き上げられた3年後の21年度から、毎年1%ずつ税率を引き上げる条件で試算している。
その結果、「ベースシナリオ」では、税率が14%に達する24年度にはPB黒字を達成。さらに45年度までPB黒字を保ち続けるためには17%まで税率を引き上げる必要があるとした。一方、「リスクシナリオ」の場合、PB黒字を達成するには税率が18%となる28年度までかかる上、45年度までのPB黒字を維持するには22%まで引き上げなければならないとしている。
■AIを活用したケアプランの適正化なども提言
また、「社会保障制度の抜本的改革」については、「企業の負担増によって財源を捻出するのではなく、給付費そのものの抑制を図るべき」と指摘。19年度から21年度の間も、社会保障関係費の伸びを3年間で1.5兆円以下に抑制する方針を継続すべきとした。
また、具体的な社会保障抑制策として、AI(人工知能)などを活用したケアプランの適正化や診療報酬・介護報酬の適正化、資産まで考慮に入れた負担の見直しなども提案している。