神戸市消防局は市内のソフトウェア会社と共同で、介護タクシーなど民間の搬送サービス事業者と高齢者らをつなぐ専用アプリ「さぽのる」を開発し、市内4カ所で実証実験を開始した。ケアマネジャーや要介護者の家族らに利用してもらい、配車の予約などがスムーズに行えるかどうかを検証する。市によると、自治体と民間企業がこうしたアプリを開発したのは全国初という。
市内の救急車の年間出動件数は、2年前に初めて8万件を突破したが、搬送された人の約6割は入院の必要のない「軽症」だった。そこで市は昨年10月、救急医療に関する専用ダイヤルを開設し、市民が119番通報するかどうか迷った場合などに、24時間体制で相談に応じるサービスの提供を始めた。
一方、救急車以外に移動手段を持たない要介護者らもおり、こうした市民の利便性をどのように向上させるかも課題となっている。
市では先月、地域の課題をIT起業家と連携して解決する官民一体型のプロジェクト「Urban Innovation KOBE」を本格的に始動させており、今回、その事業の一環として、民間の搬送サービス事業者と市民をつなぐアプリの開発に乗り出した。
アプリは現在、Android用のみで、市のホームページにあるQRコードなどから、スマートフォンやタブレット端末にインストールする。画面上では、近隣の事業者の空き状況や概算の利用料が一覧で表示され、車椅子などの介助サービスの検索のほか、配車の予約も可能だ。ただし、対象は介護保険外サービスのみ。
実証実験は来月30日まで、市内の東灘区、灘区、垂水区、西区の4カ所で行われる。市では、実証実験の結果を踏まえ、市内全域、全市民に対象を広げる方針。