死亡事故を起こした75歳以上の人の約半数に、認知症か認知機能の低下のおそれがあることが警察庁の調査で分かった。警察庁では、認知機能の低下が死亡事故の発生に影響を及ぼしているとし、高齢者を対象とした運転適性相談の充実・強化などをさらに進める方針を示している。
警察庁では、昨年中に死亡事故を起こした75歳以上の高齢運転者について、直近の認知機能検査の結果を分析した。対象者は385人いたが、そのうち49%は「認知症のおそれがある」(第1分類、7%)や「認知機能が低下しているおそれがある」(第2分類、42%)に該当していた。「認知機能が低下しているおそれがない」(第3分類)は51%だった。
一方、2015年から17年の間に認知機能検査を受けたすべての人のデータでは、「認知症のおそれがある」と「認知機能が低下しているおそれがある」を合計した割合は32%だった。
この結果を踏まえ、警察庁では「認知機能の低下が死亡事故の発生にも影響を及ぼしているものと推察される」と指摘。運転に不安を覚える人に専門的な助言・指導を行う運転適性相談の充実・強化や、高齢者の運転免許証の自主返納の促進などをさらに進めるとしている。
そのほか警察庁では75歳以上の高齢の運転者が起こす死亡事故の特徴として、▽車両単独事故が多く、特に工作物との衝突や道路の外への逸脱事故が多い▽ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故が特に多い―などを挙げている。