法務相の諮問機関である法制審議会の民法(相続関係)部会はこのほど、民法の改正案をまとめた。「義理の父の介護に長年取り組んできた長男の妻」など、これまでは相続の権利がなかった親族でも、要求すれば金銭を受け取れる制度の新設などが盛り込まれている。
現在の制度では、亡くなった人の子供の配偶者は、遺産の相続が認められる「相続人」ではない。そのため、例えば義理の父の介護に長年取り組んだ長男の妻であっても、故人の遺言などがない限り、遺産を受け取る権利はない。
この状況を踏まえ、今回の改正案では、相続人以外の親族であっても、故人の介護などに取り組んだ場合、金銭を要求することができる制度を新設するとした。支払われる額は当事者間の協議で決められる。ただし、当事者間で合意できない場合は、家庭裁判所に決定をゆだねることもできるとした。新制度の対象となるのは6親等以内の血族と、3親等以内の配偶者など。故人と事実婚をしていた人や内縁の関係にあった人は対象にはならない。
そのほか、民法の改正案には、生前に贈与された自宅は遺産分割の対象にならないことや、所有権がなくても自宅に住み続けられる「配偶者居住権」を新設することなどが盛り込まれている。改正案は来月の法制審総会で上川陽子法相に答申された上で、開催中の通常国会に提出される見通し。