インフルエンザの流行が急拡大している。国立感染症研究所は26日、1月15日から21日の一週間の患者報告数が、前の週に比べて倍近くまで増加し、流行状況も今シーズンでは初めて「警報レベル」に達したと発表した。一週間の推定患者数も前週より100万人以上増加した。重症化し入院を余儀なくされる高齢者も急増しており、調査対象となっている病院からの報告分だけでも、400例近く増えた。
同研究所によると、1月15日から21日までの間に、全国の約5000カ所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は25万6833人となった。医療機関当たりの患者報告数は51.93。「警報」発令の目安となる30を大きく上回り、統計を取り始めた1999年以降、過去最多となった。
医療機関からの報告をもとに、この1週間に受診した患者数の推計は約283万人で、前週(約171万人)から100万人以上増えた。
■インフルに伴う入院、6割超が60歳以上
医療機関からのインフルエンザ患者の入院報告数は2370例。年齢別では、80歳以上が835例で最も多く、以下は1~9歳(478例)、70歳代(416例)、60歳代(251例)、50歳代(105例)などの順となった。60歳以上の入院患者は1502例で、全入院患者の63%を占めている上、前週(1114例)から388例増加した。
■2つの型のウイルスが同時に流行
インフルエンザの流行は、1月から2月にピークを迎える。ウイルスの型では、まず「A型」が流行した後、2月ごろから「B型」が流行するのが例年だが、今年は「A型」と「B型」の流行が同じタイミングで起こっており、2つのタイプのウイルスが同時に流行したことが感染拡大につながった可能性も指摘されている。
同研究所では、▽症状がある人がマスクを着用したり、咳をする際にはティッシュペーパーやハンカチで口を覆ったりするなどの「咳エチケット」を徹底する▽手洗いなどの手指衛生を徹底する-が重要と指摘。特に、高齢者が集まる医療・福祉施設では、関係者が個人でできる予防策を徹底すると同時に、外部からのウイルスの持ち込みを防ぐために、インフルエンザの症状が見られる人に訪問の自粛を依頼するなどの対策を講じることが重要としている。